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屋敷

「アンデッドと戦った経験はあるか?」


「ないかな。さすがにCランクの冒険者にはそんな任務は与えられないから」


「わたしもです。少し……怖いですね」


「まあ、それもそうだな。とりあえず注意すべきなのは、相手はもう人間じゃない。躊躇していたらすぐに死ぬ」


 人間の姿を保っているアンデッドは少ないが、それでも情を感じてしまうのが人間だ。

 

 相手は魔物。油断をしていたら簡単にサクッと殺られてしまう。


 俺たちは馬に乗りながら、指定された場所に向かっていた。


 どうやら元貴族の屋敷がアンデッドの巣窟になっているらしい。


 ある程度予想できるが、貴族がアンデッド化したものは厄介なことが多い。


 なんせ、魔力量が一般人と桁違いなのだ。


 その上、今回の赤い目と来た。


 相手はかなりの強敵と考えていいだろう。


「あれじゃないか?あのボロ屋敷……」


 俺は遠目に見えた建物を見ながらそう言った。


 その建物は確かに廃墟という感じで、とても人が住めるような場所ではない。


 しかし、中からは人の気配を感じる。


 これはいよいよ怪しいぞ……。


「おい、俺が先陣を切る。二人は後から来てくれ」


「分かったよ」


「はい!」


 二人が返事をした瞬間、俺は馬を飛び降りた。


 そしてそのまま走り出す。


 こんな時のために反転魔法だ。


 俺はすかさず全体にバフをかける。

 これくらいの距離なら一秒足らずで着く。


 俺は勢いよく扉を開けると、そこには一人の男がいた。


 男はこちらを見ると、ニヤリと笑った。


「お主たち、何者じゃ? ここはワシの領地じゃ。無断で入ってこられると困るんじゃがのう」


 男は余裕綽々といった表情で言う。


 赤い目をこちらに向けて、ニヤニヤと笑っている。

 気配から察するに件の魔物、アンデッドで間違いないだろう。


「申し訳ないが、ここはもうあなたの領地じゃない。多分、何十年何百年も前の話だ」


 そう言うと、男はひげを触りながらふむと頷く。


「冗談じゃ。知っておる、自分が死んでいることも、どうして今自分がここにいるのかも」


 かなり自我を保っているアンデッドのようだ。

 これは……かなり苦戦しそうだな。


 自我を保っているアンデッドなんて、かなりの上位種になってくる。

 そうそう出会えないレアキャラと言ってもいい。


「だ、大丈夫なの?」

「不安です……」


「大丈夫だ。ひとまず、二人は俺の後ろに隠れていてくれ」


 ここは俺一人でやった方が戦いやすそうだ。

 経験豊富なところを見せてやらないとな……。


「色々と聞きたいことがあるんだけど、教えてくれたりするかな」


 尋ねると、男はまたもふむと頷く。


「断ると言ったらどうする?」


「どちらにせよ、俺は戦うしかない」

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