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25話 少しだけ過去を振り返る最強勇者

 翌日、昼休憩時間――


「そういえば、十六夜さん」


 隼人が沙織にもらった弁当を食べていると、竜児が話しかけてくる。


「どうした竜児?」


「異世界ってどんなところなんです? それに、なんで十六夜さんは異世界なんかに召喚されたんですか?」


「あー、前者に関してはちゃんと説明しようとすると長くなるから省く。後者に関してはかなり大雑把に説明するが、異世界には魔王や魔族っていう人類の敵がいて、たまたまぼくがそれを倒すことができる素質を持ってたらしく召喚されたんだ」


 竜児の質問に、そんな風に答える隼人。

 すると竜児は「魔王って、まさかゲームとかに出てくる、あの魔王ですか!?」と食いついてくる。


「そんな感じだな。もっとも、ぼくが倒したのは女魔王だったから竜児がイメージしてるのとは少し違うかもだけど」


 自身がその手で討滅した魔王の姿を思い出しながら答える隼人。


 そんな隼人の言葉に、竜児は「魔王を倒したんですか!? え? まさか隼人さんってゲームとかでいう勇者的な存在だったんですか!?」と、さらに興奮した様子で聞いてくる。


「……この世界でその名前を使われるなんか恥ずかしいけど、まぁ、一応勇者って呼ばれてはいたな」


「す、すげー……! まさか十六夜さんがそんな偉大な方だったなんて、痺れるぜ!!」


 興奮のあまり、竜児はとうとう大声を上げる。

 もはや隼人への憧れを通り越して、崇拝する勢いである。


(よくもまぁ、ぼくの言葉をそんなにすんなりと信じられるな。まぁ、ウソは言ってないけども……)


 単純な竜児に、隼人は内心呆れてしまうのであった。


 その後も、「ちなみに、魔王ってどれくらい強かったんですか?」「勇者ってやっぱりモテるんですか!?」などと聞いてくる竜児であったが、隼人は面倒くさくなり適当にあしらった。


 そうこうする内に昼休みの時間も残り少なくなってきたので、教室へと帰ることへと帰ってきた。


 そんなタイミングで――


「十六夜先輩♪」


 ――後ろから上機嫌な声が聞こえてくる。


 隼人が振り返ると、そこには沙織が立っていた。

 どうやらいつものように弁当箱を受け取りにきたらしい。


「沙織さん、わざわざありがとう。今日もおいしかったよ」


「十六夜先輩に褒めてもらえて嬉しいです!」


 隼人の言葉に元気よく答える沙織。

 よほど褒められたのが嬉しかったのか、受け取った弁当箱を大切そうに胸に抱き、その場で小さくぴょんぴょんと跳んでいる。


(ほんと、可愛らしいな。竜児の妹とはとても思えないよ)


 沙織と竜児の姿を見比べて、隼人はそんな感想を抱く。

 イカツくて不良だった竜児に比べ、沙織は大和撫子という言葉が似合うくらいに清楚な見た目の素直ないい子である。


「それでは、私は教室に戻りますね。また明日もお弁当作ってきます♪」


 そう言って、教室へと帰っていく沙織。

 そんな彼女が、去り際に耳元の髪を搔き上げる仕草をするのだが……


(あ、ピアスしてるんだ)


 ……と隼人は気付く。


 清楚な見た目の割に、沙織は片耳にピアスを二つほど開けていた。

 さすがは竜児の妹といったところだろうか。


「ふむ……」


「どうしたんですか、十六夜さん?」


 沙織を見送ったあと、何やら考えている様子の隼人に竜児が声をかける。


「いや、なんでもない。とりあえず授業の準備するから、お前も席に戻れ」


「了解です、十六夜さん!」


 隼人の言葉に、素直に従う竜児。

 以前は授業を受ける態度も不真面目で、たまにサボることもあった竜児だが、ここ最近はその辺も心を入れ替えたのか授業を真面目に受けている様子だ。


 竜児の豹変ぶりに、「もしかしてアレって……」「やっぱり隼人くんが竜崎を更生させちゃった、ってコト!?」などと、女子たちが密かにざわめいているのだが、それはさておく。

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[気になる点] 沙織は片耳にピアスを二つほど開けていた。 さすがは竜児の妹といったところだろうか。 「ふむ……」 「どうしたんですか、十六夜さん?」 (沙織のピアスが女魔王のそれと同じ場所なのはただ…
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