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20話 考察する最強勇者

 帰宅後――


(お、落ち着かないな……)


 夕飯を食べながら、少し緊張した様子の隼人。


 いつもと違い、美雪たちはあまり話しかけてこない。

 それだけならいいのだが、話しかけてこないわりには、隼人の方をチラチラと見てくるのだ。


 どうかしたのかと、隼人が美雪たちに聞こうとする……その瞬間だった――


「隼人くん、下級生の子から告白されたって本当?」


 意を決した様子で、春菜がそんな質問をしてくる。

 美雪も夏実も、隼人の方を見ている。


(なるほど、今日の話が姉さんたちにも伝わったのか)


 ずいぶんと情報が回るのが早いなと、隼人は驚きながら「うん、今日の放課後告白されたよ」と、返す。


「そ、それで、兄さ――隼人さんはなんて返したの?」


 ソワソワした様子で、夏実がそんな質問をする。

 なんで夏実がそんなことを気にするのだろうかと、隼人は不思議に思いながらも、告白はお断りした旨を伝える。


「ふふっ、それを聞いてママは安心したわ」


 隼人の言葉に、美雪は満足げに頷くのであった。

 すると春菜が、唐突にこんなことを言ってくる。


「ねぇ、隼人くん、今度の休みに一緒にショッピングモールに行かない?」


 ……と――。


「ショッピングモールに? いいけど何を買うの?」


「実は新しい水着を買おうと思ってるの。夏になってからだと良いのは売り切れてることもあるし、今のうちに一緒に選んでもらうかなって♪」


「み、水着!?」


 春菜のまさかの要望に面食らう隼人。

 まさか水着を一緒に選んでほしいなどと言われるとは予想外だ。


「あ、それなら私も一緒に選んでもらおうかしら♡」


 春菜の誘いに、面白そうな表情で食いついてくる美雪。

 なぜか夏実まで「わ、私も……」と、小声で加わってくる。


「ふふっ、決まりだね! それじゃあ、次の休みは予定空けといてね♪」


 隼人が何かを言う間もなく、春菜はそんな風に締め括ってしまった。


(むー、義理の家族とはいえ女性の……しかも水着を一緒に選ぶなんて、どうしたらいいんだ?)


 隼人は困った様子で、頭をかくのだった。

 ◆


 その日の深夜――


「また来たか……」


 そんな言葉とともに、隼人がベッドから起き上がる。

 いくつか展開していた《黒ノ魔網恢々》に、またもや反応があったのだ。

 隼人は皆を起こさぬよう、音を立てずに素早く家を飛び出した。


「またダンジョンか」


 隼人は目的の場所にたどり着くと、今までと同じように空間の歪みを発見する。

 すぐさま《黒ノ魔剣》を召喚すると、慣れた手つきで歪みを抉じ開け中へと入っていく。


 歩くこと少し、昨晩と同じようにゴブリンどもの姿が見えてくる。

 しかし前とは違い、通常のゴブリンの中に変異種と呼ばれる個体が混じっているようだ。


 変異種とは、武器や魔法に特化した個体へと、その名の通り変異したものを指す。

 今回現れたのは通常のゴブリンが四体、弓を持ったゴブリンアーチャーが二体、そして長杖を持ったゴブリンメイジが二体だ。


『グギャ! 《ファイアーボール》!』


 隼人の姿を見るとゴブリンメイジの一体が、火属性の下級魔法、《ファイアーボール》を放ってきた。

 拳大の火の球が隼人へと凄まじい勢いで飛んでくる、が……


 斬――ッッ!!


 ……空を切り裂くような音を立て、隼人が《黒ノ魔剣》を振るう。

 するとゴブリンメイジの放った《ファイアーボール》は真っ二つに割れ、あらぬ方向へと飛んでいってしまったではないか。


『『『グギャ!?』』』


 魔法を叩き斬られるという予想外の出来事に、ゴブリンどもが一斉に驚きの声を漏らす。

 しかしすぐさま、これならどうだ! とばかりにゴブリンアーチャー二体が矢を放ってきた。


「だから効かないって」


 呆れた様子で魔剣を横に振るう隼人。

 すると矢は弾き飛ばされたように、これもあらぬ方向へと飛んでいく。


 もはや何が起きたのか理解できないと、ゴブリンたちはパニックに陥る。

 答えは簡単、隼人は魔剣を振り抜いた時に生じた風圧で、敵の矢を無効化したのだ。


「さぁ、今度はこっちの番だな」


 そう言ってその場を飛び出した隼人。

 ゴブリンどもは抵抗することすら許されずものの数秒で駆逐されるのであった。


「しかし妙だな、日を追うごとにモンスターの数が増えている。偶然か?」


 そんなことを考えながら、隼人は《黒次元ノ黒匣》でゴブリンの死体を回収する。


 嫌な予感がするな……と、隼人は何か因果関係があるのではないかと睨む。

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