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童話集

死神は鎌を上げた

作者: ライーダ山


ある国の、ある村の、ある家に、死神はいました


ある国の、ある村の、ある家に、赤子を抱えた女がいました


赤子は、ぜぇ、ぜぇ、と苦しそうに息をしています


女は必死に赤子に薬粥(くすり)を飲ませようとしています


女は死神を見ると、言いました


「お願い、死神さん、どうかあっちに行って」


死神は、赤子を見ていました



死神は、鎌を上げた




ある国の、ある町の、ある家に、死神はいました


ある国の、ある町の、ある家に、老人はいました


老人はまるで骨のようです


老人は死神を見ると、言いました


「あんたは、誰じゃ」


死神は、老人に触れていました



死神は、鎌を上げた




ある国の、ある森の、ある場所に、死神はいました


ある国の、ある森の、ある場所に、悪党はいました


悪党は、ぼろぼろの服を真っ赤に染めています


悪党は死神を見ると、言いました


「おまえ、その鎌を上げてみろ、噛みついてやる」


死神は、悪党の匂いを嗅ぎました



死神は、鎌を上げた




ある国の、ある領の、ある館に、死神はいました


ある国の、ある領の、ある館に、乙女はいました


乙女は、元気そうです


乙女は死神を見ると、言いました


「あなたなんて、嫌いだわ」


死神は、乙女の言葉を聞いていました



死神は、鎌を上げた




ある国の、ある城の、ある部屋に、死神はいました


ある国の、ある城の、ある部屋に、王さまはいました


王さまは、老いています


王さまは死神を見ると、言いました


「死にたくない」


王さまは、逃げました


王さまは、三日三晩走りました


王さまは、兵士を集めました


王さまは、深い深い谷にかくれました


それでも、死神は、王さまの前にいました


一歩、一歩、死神が近づきます


死神は、王さまに言いました


「時がわしの背中を押し、わしが鎌を上げるかぎり、みな死ぬときが来るのだ」



死神は、鎌を上げた


上げたら、下ろす


当たりまえのことでした


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― 新着の感想 ―
[良い点] なんか、すごい [一言] 先輩56。 また僕の小説に指摘もらえると嬉しい
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