02 どうすれば
視点戻ります。
飛ばされてしまった人を見ると、ようやく目覚めたところだった。
周囲を見渡しているが、またすぐに横になってしまった。
「どうして彼は、また寝てしまったのかしら。」
「それは、現実が受け入れられないからでは。」
いきなり、見たこともない、森の中では現実が受け入れないのも無理はない。
「どうしよう。このままじゃ魔物の餌よ。」
そうなのだ。サラ係長がいうように人間の近くには、魔獣が生息している。
魔獣は肉食なので、彼がこのまま動かないとなると無残なことになってしまう。
すると、ヴァネッサ部長が説明を始めてくれた。
「これからがあなたたちの出番です。
私たちは、直接手は出せません。できることは非常に少ない。
ですが、今回のイレギュラーに対応するにはこのままでは難しいでしょう。」
「ルールを曲げるということですか。」
「曲げるというわけではないです。あることを条件にルールを一部緩和します。
急を要するので、ルビー局長には私からも説明します。」
「その条件とはなんですか。」
サラ係長も不安そうに質問する。
「それは、あなたの給料から相応の対価を払うことで、世界への干渉を可能にします。」
「なんですって!いえ、すいません部長。
給料から払うって、私の給料は少ないんですよ。」
サラ係長も必死である。
自分も係長も給料をもらって生活をしているが、あまり余裕がないのが実情だ。
係長が焦るのも無理はない。
特にサラ係長は、美容とおしゃれにお金を使っており、自分より余裕はないはずだ。
「何を言うのですか、あなたのミスで、一人の運命を変えてしまったのですよ。
これくらいのペナルティは当然です。
彼が元の世界に戻れなかったら、あなたには、相応のペナルティがありますから、
覚悟してね。」
ヴァネッサ部長は係長の態度を意に介さずに説明を続ける。
「そんなぁ。。」
サラ係長がうなだれてしまった。
「コロクさんも他人事ではないです。もし彼女が失敗したら、あなたにも責任を取っていただきます。二人はチームなのですから、ちゃんと力を合わせてやってくださいね。」
笑顔で説明をする部長が怖い。
「そんな!私はメンバーですけど、二人しかいないチームなんですよ。
わずかな世界への干渉だけでは、どうにもできません。」
「大丈夫です。各世界には、我々の協力者がいることは知っていますね。」
「知っています。我々存在を目指しながら、世界の管理をしている者たちですよね。」
「その通りです。
本来であれば、世界への干渉にもなるため、接触は最小限としていますが、
今回は例外として、私の権限で、あなたたちから直接依頼を出すことを許可します。
うまく協力してください。世界への干渉は、彼女が直接干渉するか、現地の管理者に協力を依
頼するかの2択となります。」
そういうことなら、まだ何とかなりそうだ。
「わかりました。係長頑張りましょう!」
いまだ放心状態の係長に声をかける。
「そうね。こうなったら、全力で何とかするわ。」
コロク側視点です。