01 ここはどこなんだ
飛ばされてしまった人間視点です。
これは一体何が起こったんだ。
自分の名前も思い出せない。
今日もいつも通りに仕事を終えて、
家族が待つ家に帰り、ご飯を食べて、寝る。
起きたら、また仕事に出かける。
そんな日常が続くはずだったのに、
家族がいたことは覚えているがぼんやりする。
周囲を見渡しても、見たこともない木が生い茂っている。
空腹感はない。
頭がぼんやりしているが、体は健康なようだ。
ただ、自分の体を見ると少し若くなっているような気もする。
服装は、寝間着だ。持ち物は何もない。
どうしよう。
このままぼんやりしていたら、夢で起きたら、またいつもの日常に戻れないだろうか。
とにかく寝てみるか。
考えてもどうしたらいいかわからない。。。
どれくらい時間がたったのかわからないが、周辺の様子に変化はない。
空腹だ。のども乾いてきた。このままでは、いずれ死んでしまうだろう。
行動するしかない。
覚悟を決めて改めて、周囲を見る。
空はまだ明るい。
相変わらず、周囲の木々は見たこともない木だが、いづれのかの方向に進まないといけない。
考え込んでいると、音が聞こえてきた。
ガサガサ、ガサガサ
正面から何かの音がする。
ついつい後ずさってしまう。
すると背後から、かすかな水が流れる音が聞こえてくる。
「もうこれは、行くしかないか。」
つい思ったことが口から出てしまう。
意を決して、水の音がする方へ歩き出すことにした。