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3話 本当に転生していた1

(うっ!ここは?)


目が覚めると、目の前には知らない光景が目に入って来た。

そんなに立派ではない部屋だ。

俺はベッドで寝ていた。しかし、ベッドもそんなに上等なものでなく、少し動くとギシギシと音が出てしまう。掛けられているシーツも粗末なものだった。

昔、映画で見た中世のヨーロッパを舞台にしたセットに似ている気がした。


上半身を起こし再び周りを見渡してみたけど、何かが違う・・・

違和感の違いを考えてみたけど分からない・・・

しばらく考えてふと気が付いた。


(起き上がった時の視線が違う。俺の視線ははこんなに低く無い筈だ。)


無意識に自分の手を見てしまった。


(何だ!この手は!陽菜よりも幼い手だぞ!)


部屋を見渡してみたけど鏡が見当たらなかったので、自分の手で体中を触って確認した。


(子供の体だ・・・、しかも、3~4歳くらいの・・・)



【どうやら目が覚めたようね。3歳のお誕生日おめでとう。私の使徒となったあなたは、こうして私と念話で会話出来るのよ。】


(その声はニアーナ様!やっぱり夢ではなかった・・・、俺は本当に転生したんだ。)


【今のあなたは前世の記憶を引き継いで生まれ変わっているのよ。この世界に生まれ変わってから今までの記憶はしばらくすると思い出すわ。生まれてすぐに前世の記憶や意識を引き継いだら大変な事になっていたから、3歳になるまであなたの記憶を封印していたの。】


【それはどうしてですか?】


【考えてごらんなさい。生まれたばかりだと母親からお乳を飲まされたり、おむつを替えられたりするのよ。2歳まではおねしょもしているし、前世で30歳を超えたあなたがそんな事に耐えられる?特殊な性癖が無い限りは羞恥で死にたくなってしまうわよ。まさか・・・、あなたはそんな趣味が?】


【いえ!誓ってそんな変態ではありません!私は絶対に普通の人間です!】


【ふふふ、冗談よ。それではこの世界やあなたの事を説明するわね。】


【お願いします。】


ニアーナ様から説明を受けた。

この世界は1度滅んでしまい、今は復興の最中だと。おかげで文明レベルもかなり低下してしまい、今の時代は地球で言う中世のレベルのようなものだと教えてもらった。

500年前に魔王がこの世界に君臨してからは、その魔王が魔物やモンスターを生み出し、この世界の人間を脅かしている。だけど、魔王の寿命はほぼ無限に近いものであり、慌てる必要もないのか世界を侵攻する速度は極めて遅かった。そのおかげで500年経った今でも世界は支配されていないとの事だった。

今は魔王領と呼ぶ大陸に住んでおり、魔物から進化した側近の魔族が防衛と侵攻を行っている。

侵攻は散発的に行われており、どうも魔族が人間をいたぶって楽しんでいるみたいだとニアーナ様は考えている。

魔族は人間よりも身体能力がとても高く、普通の人間では絶対に勝てないのに本気で人間の領地に攻めてこないからだ。


そして、地球と決定的に違う点は、この世界では魔法が使えるとの事だ。誰でも1度は憧れた事があっただろう、俺も子供の頃は魔法に憧れた。それがこの世界では使えるのだ。

しかし、魔法は誰でも使えるものではない。素質が無いと使えないのだが、俺は勇者として生まれ神様の加護を受けているので、魔法を使う事には問題は無かった。

まだ3歳の俺は魔法を使えるだけのレベルには至っていないので、魔法は当分先の話と言われた時はちょっとショックを受けてしまったけど・・・


魔法以外にも人間にはスキルというものが女神様から与えられる。6歳の誕生日を過ぎるとニアーナ教の教会で祈りを捧げると授けられる。ニアーナ教とはこの世界の宗教である。さすがはこの世界の創造神だけあると実感した。俺の場合は使途となっている為に、既にスキルは習得済みとの事だ。

魔法もそのスキルの1つでありニアーナ様以外の女神様からの加護が貰えれば、各女神様の属性の魔法が使えるという訳だったりする。

加護にもレベルがあり、加護が大きくなれば強力な魔法が使えるという訳だが、まぁ、その女神様のお気に入り度が加護の大きさみたいなものだから、そんなに大きな加護を貰えた人間は過去にはいないと教えてもらった。


【覚醒するまではあなたは普通の子供だったけど、今は違うからどんな能力になっているか確認しましょう。】

【『ステータス』と念じれば、あなたの能力が表示されるわ。普通、ステータスは気軽に人に見せたり教えてはいけない。その人の価値が数値化されているから、利用されてしまっては困るからね。】


【それじゃ、念じてみて。】


教えて貰った通りにしてみよう。しかし、この世界の設定は俺が昔遊んでいたRPGみたいなものだな。結婚前はかなりやり込んでいたジャンルのゲームだったよ。


(ステータス!)


目の前に細長いウインドウが現われた。



名前 : アルバート(男) 人間 3歳

職業 : 勇者(女神の使徒)

レベル : 1

体力 : 3/100,000

魔力 : 100/5,000,000

STR(力)  : 9,999

INT(知力) : 9,999

AGI(素早さ): 9,999

DEX(器用さ): 9,999

魔法 : 光100、闇100、水100、風100、土100、収納魔法、特殊魔法

スキル : 手加減、鑑定、威圧、自動防御、自動反撃、剣聖、拳聖、大賢者、無詠唱、多重起動、並列思考、体力回復(大)、魔力回復(特大)、ステータス異常完全耐性、限界突破、etc

加護 : 最高神オリジンの加護

     光と闇の女神ニアーナの加護

     戦神トールの加護

     大地の女神ライアの加護

     水の女神レアーニの加護

     風の女神カリスの加護



【そ、そんな・・・、あり得ないわ・・・、いくら何でも・・・】


念話越しでもニアーナ様の動揺が分かる。

ゲームを経験していたから分かる、この数字はデタラメだろう。チートどころの騒ぎではないし、ニアーナ様が旅立つ前に俺に『力に溺れないで!』と念押ししていた気持ちも分かった。


いきなり目の前が真っ暗になった。



再び目を覚まし周りを見ると真っ暗なのに体はハッキリと見える。改めて自分の体を見てみると、やっぱり子供の手足だった。

(ステータスの名前も違っているし、本当に生まれ変わってしまったのだなぁ~)

ここはかつて俺が死んだ時に初めて神様にお会いしたような場所だった。

そう言えば、神様って『最高神オリジン』とステータスに書かれていたような・・・


(げっ!そんな偉い神様と気安く話をしていたの?神様にも不敬罪ってあるのか?)


もしそうだったらヤバイ・・・、冷や汗が体中から出てくる。


「ふふふ、安心して。天界にそんな罰は無いからね。」


その声は!目の前にニアーナ様が佇んでいた。


「良かったぁ~、心臓に悪いです。」


俺の行動を見てニアーナ様がニッコリ微笑んでくれた。

「私こそ安心しました。あなたは変わっていない。あんなモノを見せられてしまって慌てた私の方が恥ずかしいですね。」


(あんなモノ?)


「やっぱり俺のステータスは異常ですか?」


ニアーナ様が真面目な表情でコクリと頷いた。

「正直申しましてバケモノです。あなたは今までの勇者の中でも最強には間違いないでしょうが、いくら何でもデタラメですね。初期値でこの能力ですから、あなたが成長した時はどんな存在になるのか私にも想像出来ません。」


(そんなに・・・、でも俺は俺だ!)

「安心して下さい。私はあなたとの約束は必ず守ります。」

「ですが、ちょっと教えていただきたいのですが、普通の人間のステータスってどんな感じです?」


クスッと笑ってくれた。どうやら安心してくれたみたいだ。

「本当にあなたは面白いですね。こんな状況でも普通に接してくれるなんて・・・、おじい様があなたを気に入る訳です。」

「これが普通の人のステータスになります。」


体力 : 50~100/50~100

魔力 : 100~200/100~200

STR(力)  : 20

INT(知力) : 20

AGI(素早さ): 20

DEX(器用さ): 20


「分かりました?これが一般的な成人のステータスになります。達人や英雄と呼ばれる方々でも、このステータスの10倍くらいまでが人類最高のステータスになるのですよ。ちなみにこの世界最強と呼ばれるドラゴン族でさえもステータスは1000~3000くらいなんです。過去の勇者もドラゴンクラスのステータスでしたし、あなたがどれだけ規格外か分かったでしょう?」


(マジかい・・・、それなら今の俺のステータスはドラゴンですら素手で軽く倒せるって事か?しかし、魔王っていうのは、ドラゴンクラスの勇者でも簡単に返り討ちにしているんだよな?魔王のステータスも俺並みにバケモノクラスだろう。)


「そうですね。魔王もあなたと同等かそれ以上の可能性があります。正直、魔王の実態は私も分かっていないのですよ。他の神の使徒ですからね。ですから、このステータスでも慢心しないで精進して下さい。」

「あとはステータスに頼り過ぎてもいけません。あくまでも強さの基準ですし、ステータスが低くても強者は意外と多く存在します。ステータス頼りですと戦い方も単調になりやすい上に、隙も多くなります。その事は絶対に忘れないで下さいね。」


ニアーナ様が小さくガッツポーズをしてくれた。仕草が可愛いです。

「真に強くなるには精進あるのみです。」


「分かりました。頑張って魔王を倒せるまでに強くなります。」



「それでは魔法とスキルの事も教えますね。ちなみに、この空間は外の世界とは時間軸が違いますから、元に戻っても数秒しか進んでいません。ですから、分からない事はじっくりと教えて差し上げますよ。」


魔法に関してはちょっと複雑だった。

まずはこの世界の魔法について教えてもらった。

この世界に布教されているニアーナ教の経典には、ニアーナ様が降臨しこの世界を創造したと書かれている。その時に一緒に降臨した地・水・火・風の女神が生命を作り出したとの事だ。

そして、ニアーナ様から授けられたスキルに魔法を扱えるスキルがあった場合は、ニアーナ様を含め5人の女神様から魔法の加護を与えてもらい魔法が使える。

魔法使いになっても普通は1人1属性の魔法しか使えないが、希に2属性や3属性の魔法が使える人も出てくるみたいだけど、そんな人は大魔道士や賢者のスキルを持っていないと出来ないみたいだ。

俺は『大賢者』のスキルがあるので、全ての魔法が行使可能との事・・・


魔法の女神の加護はあくまでも魔法を行使するだけの加護であり、俺のステータスに表示されている加護とは別物だと説明された。

たま~に俺みたいに女神様の加護を受けた人間がいるみたいだが、大体は国が全力を挙げて優遇してしまうので、贅沢を覚えて堕落してしまうか、人嫌いになって隠居生活しているとの事だ。

俺みたいに複数の神様の加護をもっているのがバレてしまうと、俺を手に入れようとして国同士が戦争になるかもしれないので、この点に関しては厳重に注意されてしまった。


(そうだよな、国からすれば俺みたいな過剰戦力は喉から手が出るくらいに欲しいだろう。他の国よりも優位に立ちたいと思うのはどの世界も一緒だ。)


各属性に表示されている数字は神様とのシンクロ率で、数値が高いほど強力な魔法が使用出来るとの事だ。普通は最大でも50~60%に対して俺は100%なので、神様が使える全ての魔法を使えるみたいだ。ただ、火の女神であるフレイヤ様の加護はもらっていないので火の魔法は使えない。そして、消費魔力も魔法の強力さに比例して大きくなるので制限はあるとの事だったが、あり余る魔力のおかげでどんな強力な魔法も使い放題だと言われた。

先程は魔法が使えないと言われていたが、『大賢者』のスキルを持っていたので魔法は今からでも問題なく使えると教えてもらった。スキル効果で普通の人が魔法を使うよりも5割増しの効果だという事も・・・

どれもチート過ぎるので、段々と自分の感覚がおかしくなっている気がしてきた。


スキルに関しても普通の人は1つか2つしか持っていなく、ニアーナ様からランダムで授けられるみたいだ。

このバケモノステータスでは普通に暮らす事は難しいので、『手加減』スキルは特に重要といわれた。そのスキルさえあれば一般人のステータスのように生活も可能だとの事だった。俺にはとても有り難い。常に力の加減をしながら生活するのは無理だろうし、歩くだけでも周りを壊しまくるような生活はしたくない。

そのスキルの応用でステータスを隠蔽する事も可能だと教えてもらった。鑑定スキルを持っている人間に自分のステータスを覗き見られるので、このステータスがバレると非常に危ないとの事だ。人間というものは凄すぎる存在には恐怖を感じ排除する傾向が強いからね。



次から次とニアーナ様がスキルを説明してくれるが、段々と呆れた感じになっていた。

「スキルの数が多過ぎ!何でこんなに多いの?私達神よりも多いなんて・・・、全部説明出来ないから、元に戻ってから少しづつ確認してちょうだい。ステータス画面が出ている時に項目を念じれば説明文が出て来るからね。」

(口調がかなり投げやりな感じもするけど・・・)

「ごめんなさい・・・、みんなの加護が合わさるとここまで凄い事になっていたとは思いませんでしたから・・・」

そう言われると、改めて神様の加護の凄さを実感している。

さっきから思っていたが、俺の心の声がしっかりとニアーナ様に伝わっている。

やはり女神様はちゃんと心を読めるんだな。


(変な事は考えないようにしよう・・・)


ニヤッとニアーナ様が笑った。

「そうですよ。私達には隠し事は出来ませんからね。」


(怖い・・・)


「ふふふ・・・」


ニアーナ様の視線で俺の背中に冷や汗が流れる。



「それではそろそろ戻るとしましょう。ステータスはもう偽装しておいた方が良いですね。今までの勇者は教会の神官に神託としてすぐに世界に発表していました。人類が一致団結して魔王に立ち向かう事を期待していましたが、勇者の周りには碌でもない者ばかりが集まりましたからね。勇者の名声を利用して私服を肥やそうとする者ばかりで・・・、周りがそんな状況だったから今までの勇者はダメになったのでしょう。」


(この気持ちはよく分かる。人間、贅沢を覚えると碌な事にならないからな。)


「分かります?だから、今回は敢えてあなたの素性は隠しておきます。いつかは勇者と名乗らないといけませんが、その時までに心から信頼できる仲間に巡り会える事を祈っています。」


そしてニアーナ様がステータスウインドウを開き操作をしていた。

「はい!この様にしておいて下さい。3歳の子供ならこんな感じでしょう。手加減もこのレベルに合わせて下さいね。あなたはこの世界の常識はまだ分かっていませんから、ステータス更新の時は私の方から連絡しますよ。」


名前 : アルバート(男) 人間 3歳

職業 : 無職

レベル : 1

体力 : 5/5

魔力 : 0/0

STR(力)  : 2

INT(知力) : 2

AGI(素早さ): 2

DEX(器用さ): 2

魔法 : 無し

スキル : 無し

加護 : 無し


(ふう~、これで一般人の仲間入りだ!表面的にはね・・・)

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