呼応する呪い-3
「あなたも……人ではないのに?」
ランツェの前髪がたらりと揺れる。その僅かな反応をテイトマリーは逃さなかった。
「あなたが普通でないことは、あなたが一番わかってると思います。」
「……何が言いたい?」
「……“怪我をしてもすぐに塞がる”、“身体に毒への抵抗がある”。これが“普通の人間”にあると思っているんですか?」
空間を引き裂く一閃の風。それは一体いつ吹いたのかは分からないが、その起点は動きによるものだった。
ランツェは既に懐から抜いた剣をテイトマリーの首筋に這わせ、彼女の肩を掴んでいた。力は一切入ってはいないが、抜けだそうとすれば簡単に首が宙を舞うことがわかってしまう。
筋を一つでも動かしてしまえばたちまちそれは行われる。身体の要所を密着させてそれを肌で感じ取ろうとする姿にはランツェの明らかな敵意が見られた。
それでもなお、テイトマリーは笑った。笑って周りには聴こえないように言ったのだ。
「私は、あなたと同じ“龍の呪い”を受けたものです。」
「……。っ!」
テイトマリーは這わせた剣に自ら首をつきいれる。そして、彼女の両手はゆっくりとランツェの肌を撫でた。触れたところはそこだけが氷でなぞられたかのように体温がなくなっていくのを感じた。
「血は出る……でも大量じゃない。それにこの温度……分かりますか? あなたと同じよう……に?」
テイトマリーはランツェの頬や服の中を弄り、ランツェの“体温”を感じる。
「……?????」
首が刃によって擦れていくことなど気に求めず、ランツェに思い切り抱きつくと彼女は自分にないものを貪るようにたしかめ始めたのだ。
「……あったかい……」
「冷たい。」
「……血の音がする。」
「何も聞こえない。」
「生きて……る?」
「……死んでる。」
それは彼女には意外なことであった。なにしろ、自分と同じだとテイトマリーは確信していたのだ。自分と同じように“身体は死んでいるのに魂は肉体から離れず冷たいものである”と。
そう思っていたのだ。
「どうして? 何で……だってこの感覚は私と同じ筈なのに――」
困惑してなんとか自分と同じであることを確かめようと、ランツェの制服のボタンを引きちぎって脱がし、更に密着してとにかく身体を弄る。
傍から見れば恋人の茶化しあいから発展した情事であるかような状況は店の中で行われているのだ。




