コント「新米看護師」
看護師「お早うございまーす。朝の検診に来ました」
患者「お早うさん。あれ、いつもの看護師さんじゃないね」
看護師「新人なんです。宜しくお願いします」
患者・看護師「ふぅ(互いに見つめあって固まる)」
患者「(痺れを切らして)どうしたの。検診でしょ?」
看護師「えっ、はい。えっと何にいたしましょう?」
患者「はい?何にするって、いつもの検診するんでしょ」
看護師「はい、いつものですね。かしこまりました。ところで患者様はこのお店のご利用はございますか?」
患者「ご利用はございますかって、俺は1ヶ月前から入院してるよ」
看護師「まあ、常連さんなんですね。ありがとうございます」
患者「(深々とお辞儀されて戸惑う)常連さん?」
看護師「ではスタンダードコースですね」
患者「(更に戸惑い)スタンダードコース??」
看護師「検温、脈拍、血圧と、問診です」
患者「ああ、まあ、いつものだな」
看護師「じゃあ、検温からいきますね」
患者「ガラスの検温器とは懐かしいね」
看護師「ですねー、良く振らないと、あっ。(下を向いて、一瞬固まるがすぐに何か拾う仕草してから、患者に手を近づける)」
患者「ちょっと待って!今、検温器落としたでしょう」
看護師「大丈夫です。3秒以内で拾ってますから」
患者「3秒ルールか!って言うか割れてるだろ、近づけるなよ、危ないだろ!」
看護師「ちっ」
患者「ちっ、て言うなよ」
看護師「(ぱっと手を開いて、足で床に掃くような仕草)」
患者「落とすなよ。落ちた検温器をベッドの下に隠すなよ!雑だな」
看護師「大丈夫です。お店閉めたら掃除しますから」
患者「お店閉める?……消灯時間後に片付けるってことか?何か話が噛み合わんなぁ」
看護師「(新しい検温器を取り出す)はい、どうぞ」
患者「はい」
看護師「(少し待ってから検温器を回収)36度5分ですね」
患者「平熱やね」
看護師「そうですね。サービスで38度にしときますね」
患者「いや、待てよ!サービスって意味分からんわ」
看護師「遠慮なさらずに無料てすから」
患者「無料とか関係ないから。平熱が発熱になっちゃ不味いだろ」
看護師「えーーー、そんなこと言う方、初めてです」
患者「初めてなのか。俺が変なのか。と、とにかく正確に記録してくれ」
看護師「そうですかぁ、36度5分っと。次は脈拍ですね。えっとオプションがありますがどうしますか?」
患者「オプション?」
看護師「えっと、まずチェキ付き」
患者「チェキ?」
看護師「脈拍測ってるところを写真で取れます」
患者「はぁ?」
看護師「それから、お散歩」
患者「お散歩?」
看護師「院内をお散歩しながら脈拍取ります。階段を上り下りしながら取ります」
患者「脈拍上がりまくるでしょう。そんなので正確に脈拍計っていると言えないでしょう」
看護師「最後は逆脈拍です」
患者「逆脈拍?」
看護師「患者様がワタシの脈拍を計るんです」
患者「君の脈拍を計ってどうすんだよ。もはや、検診にもなっていねぇ。本当にあんた、看護師さん?」
看護師「勿論。(携帯が鳴る。携帯をとり、話をしだす)はい。ああ、店長。えっ?もうシフト入ってますよ。えっえっーー」
看護師「(患者に)ここ病院なんですか?」
患者「病院だよ」
看護師「本物の病院?」
患者「本物の病院だよ」
看護師「あっははー、私、隣のコンカフェと間違えました」
患者「寝間着着てコンカフェに来るやつがいるか!」
看護師「いやー、コスプレかと思ってました。それじゃ!」
患者「それじゃ!じゃねーよ」
看護師「ああ、お客さん、顔色悪いので一度お医者に診てもらった方がいいですよ」
患者「やかましーわ!」
2019/10/13 初稿