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八月十日……その十九……

 夏休み……八月十日……。

 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は夢の中で彼の妹(?)に出会った。

 なんだかんだあって、自分と彼女が一卵性いちらんせい双生児そうせいじであることが判明した。

 しかも、彼女は受精卵の頃から彼のことを知っているらしい……。


「な、なあ、小雪こゆき。お前はいったい何者なんだ?」


 彼は横になった状態でそう言った。

 すると、白髪ロングと血のように赤い瞳(ジト目)と白いワンピースが特徴的な彼の妹『不死鳥ふしどり 小雪こゆき』はニコニコ笑いながら、こう言った。


「うーん、そうだなー。お兄ちゃんのことが大好きな妹……かな?」


「いや、そうじゃなくてだな……。その……お前は俺が受精卵の頃から知ってるんだよな?」


「うん、知ってるよ。それがどうかしたの?」


「いや、普通にありえないだろ」


「え?」


「だってさ、受精卵の時って何も知覚できないだろ? 脳も心臓もない状態のお前がその頃の俺のことを覚えてるわけないし、そんなことできるわけ……」


 彼が最後まで言い終わる前に、彼女は彼の手をギュッと握った。


「でも私はちゃんと覚えてるよ。私とお兄ちゃんが一つの存在だった時から、今日までの記憶はたしかに私の頭の中にある……。もし、信じられないなら、確かめてみてよ。お兄ちゃんやお兄ちゃんの友達、新しい家族に至るまでの記憶はぜーんぶ私の中にあるから」


「そうか……。じゃあ、教えてくれ。俺は何のために生み出されたんだ?」


「うーん、ちょっとそれには答えられないね。禁則事項だから……」


「禁則事項……か……。じゃあ、質問を変えよう。お前は俺の何なんだ?」


「うーん、まあ簡単に言うなら、お兄ちゃんを補佐するために生み出された存在……かな?」


「補佐だと? 俺は別にそんなこと頼んだ覚えはないのだが……」


「今は必要なくても、いずれは私なしじゃ生きていけなくなるよ。あっ、ついでに言うと、お兄ちゃんを公園まで運んだのは私だよ」


「ん? じゃあ、あの時聞こえた声の主って……」


「うん、それも私だよー」


「……えーっと、ちょっと整理させてくれ。お前は俺の双子の妹であり、俺を補佐する存在……。そして、倒れた俺を公園まで運んだ存在でもあり、そこで聞こえた声の主でもある……」


「うん、そうだよー。まあ、私がここから出ると結構なエネルギーを消費するし、存在も曖昧あいまいになっちゃうから、気づけるわけないよー」


「そうだったのか……。そ、その……なんかごめんな。気づけなくて……」


「ううん、お兄ちゃんは悪くないよー。色々あって普段はお兄ちゃんの松果体しょうかたいの中にいるのが悪いんだから」


「……ん? ちょっと待て。お前、今なんて言った?」


「え? いや、だから、色々あって普段はお兄ちゃんの松果体しょうかたいの中にいるんだけど、それがどうかしたのー?」


 彼はキョトンとした表情で小首をかしげる小雪こゆきの態度に唖然あぜんとした……。

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