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八月十日……その十五……

 夏休み……八月十日……。

 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は……『オールマイティーブレイカー』になると同時に人を捨てた。

 そんな彼が元に戻る引きがねとなったのは、彼の母親である『不死鳥ふしどり ひびき』だった。

 壊人かいとを覚醒へと導いた自称、壊人かいとの妹『カレン』を倒した壊人かいとは、力を使いすぎたせいで意識を失ってしまった。

 え? それよりも『ミコト』ちゃんと『心悟しんご』と『総太そうた』の安否を教えろ?

 あー、残念ですが、ここではお教えできません。禁則事項ですから……。


「ミコトちゃん、ありがとね。壊人かいとを守ろうとしてくれて」


 黒髪ロングと黒い瞳と無駄にでかい胸と白衣が特徴的な壊人かいとの母親『不死鳥ふしどり ひびき』は、白髪ツインテールと黒い瞳と白いワンピースが特徴的な美少女……いや美幼女『山の守護神(ミコト)』にそう言った。


「い、いえ! 私はただ、お兄さんのことが心配だっただけですから……」


「でも、あなたがいなかったら、この世界は……ううん、この世は壊人かいとの力によって、完全に破壊されていたわ。だから、せめてお礼を言わせてちょうだい。ね? いいでしょう?」


 山道をゆっくり下りながら、そんなことを話せるのは彼が自我を取り戻してくれたおかげだ。

 だが、そこに至るまでのいくつかのプロセスが一つでもなかったとしたら、こうして呑気のんきに話などできなかった。

 ミコトは、他人からの感謝の気持ちをありがたく受け取らないのは失礼だと思った。

 だから、ミコトは彼女にこう言った。


「わ、分かりました。気の済むまでやってください」


「ありがとう。小さなお母さん」


 彼女はそれを聞くと、両頬に手を当てながら、顔を真っ赤に染めた。


「さてと……それじゃあ、そろそろ……お仕置きタイムを始めましょうか」


 彼女は、自分の背中から少し離れたところを歩いている壊人かいとの弟『不死鳥ふしどり 心悟しんご』とパーフェクトブレイカーこと『不死鳥ふしどり 総太そうた』の方に目をやった。


「あ……あはははは……。まあ、やっぱりこうなるよね」


 黒髪ショートの少年『心悟しんご』は、がっくりと肩を落とした。


壊人かいとがあんな風になってしまったのは、僕のせいだ。だから、罰を受けるのは僕だけでいい」


 口調と一人称以外、壊人かいとにそっくりな存在『総太そうた』は心悟しんごかばった。


「うーん、そうねー。それじゃあ、今回の罰の内容は壊人かいとに決めてもらいましょうか」


 彼女がそう言うと、彼女の背中に身をゆだねている壊人かいとが目を覚ました。


「あ……れ? ここは……というか……二人とも生きてたのか……」


「うん、まあね」


「あんなちびっに負けるようなら、この先やっていけない」


「そうか……。まあ、お前らがそう簡単に……死ぬわけ……ねえよな……」


「お兄さん、体は大丈夫ですか? どこか痛くないですか?」


 ミコトが不安そうな表情を浮かべながら、そんなことを言ってきた。

 彼は彼女をこれ以上、不安にさせないために苦笑いをしながら、こう言った。


「……あ、ああ、大丈夫だ。そう簡単にくたばって……たまるか」


「そうですか。でも、無理はしないでくださいね? いざという時は、私の血を飲んでください」


「いや、神様の血を飲めるほどの存在じゃないから、遠慮しておくよ……」


「ねえねえ、壊人かいと。これから二人にお仕置きをしようと思ってたんだけど、あんたは何したい?」


「うるさいなー。今ちょっと疲れてるんだから、少し静かにしてくれよ……」


「まあまあ、そう言わずに。ねえ?」


「…………あー、はいはい分かったよ。分かったから、少し静かにしてくれ。えーっと……そうだな」


 彼は少しの間、考えた。

 二人にどんなお仕置きをするか……適当に考えた。


「……あー、そうだなー。じゃあ、二人とも。今日は俺と一緒に寝ていいぞ」


「え? それって、お兄ちゃんに〇〇とか〇〇していいってこと?」


心悟しんご。そういうことがしたいなら、他のやつとやってくれ。俺はごめんだ」


「えー、嫌だよー。お兄ちゃん以外の男の人の首筋にキスマークなんて付けたくないよー。それに、僕の目にはお兄ちゃん以外の存在は、みーんなキャベツにしか見えてないんだよ? 絶対他の人となんかできないよー」


「あー、悪い。お前には何を言っても無駄だということを忘れていた。すまない」


「え? それじゃあ、僕を受け入れてくれるの?」


「バカやろう。俺がそんなことするわけねえだろ」


「でも、『わたあめ』買った時、キスしてたよね?」


「……はぁ……いいか? 総太そうた。あれは事故だ。恋人同士がするようなものじゃない」


「そうか……。でも、客観的に見れば、あの時の二人は完全に恋人同士だったよ?」


「……もういいだろ。今は少し休ませてく……」


 彼は最後まで言い終わる前に、寝息を立て始めた。

 心悟しんごは彼が寝た直後、ニコニコ笑いながら彼の頬に優しくキスをした。

 それを見たミコトちゃんは、先ほどよりもさらに顔を赤く染めていた。

 その後、心悟しんごはとても嬉しそうにスキップをし始めたそうだ……。

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