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八月十日……その十四……

 夏休み……八月十日……。

 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』はなんだかんだあって、『オールマイティーブレイカー』になってしまった。

 今の彼は、この世の全てを破壊する存在であり、新たな世界を創造しる力を持った存在でもある。

 しかし、自我を失うだけでなく、人を捨ててしまった今の彼では、新たな世界の創造主にはなれない。

 あの人が来てくれれば……話は別だが……。


「さぁ、お兄様。私と一緒にこの世の全てを破壊しましょう。そして、新世界のアダムとイブになりましょう」


 白髪ロングと黒い瞳と白いワンピースが特徴的な美少女……いや美幼女『カレン』は『オールマイティーブレイカー』になってしまった壊人かいとの頬に触れようとした。

 しかし……そううまくはいかなかった……。


「あらあら、私の許可なく、うちの可愛い息子に触れようとするなんて、いい度胸してるじゃない」


 カレン(彼の妹?)は、歯を食いしばりながら、彼女に目を向けた。

 黒髪ロングと黒い瞳と無駄にでかい胸と白衣が特徴的な壊人の母親『不死鳥ふしどり ひびき』は、ニコニコ笑いながら彼女の方へと歩み寄る。


「……どうして……どうしてお前がここにいる……。答えろ! オールキャンセラー!!」


 態度と口調が一変したカレンの顔からは、憎悪と怒りしか感じられなかった。


「あら、私のこと知ってるの? なら、話が早いわ。さっさとおうちに帰りなさい。さもないとその可愛い顔に一生消えないきずを付けるわよ?」


 彼女がニコニコ笑いながら、カレンに警告するとカレンは大きな声でこう言った。


「黙れ! お前なんか今のお兄様の足元にも及ばないくせに! いい気になるな!!」


「そうね……。たしかに今の私じゃ、人を捨ててしまった壊人かいとに勝つのは難しいかもしれない……。けどね、あなた以上に壊人かいとのことをよーく知っている私からしたら、私が何もしなくても、自力でどうにかできるってことくらい、すぐに分かるものなのよ」


「……お前はいったい何を言ってるんだ? 自我を失い、人を捨てたお兄様を止めるすべなどあるわけがな……」


 その時、壊人かいとは自分の体の周囲から放たれていた真紅のオーラを空に向かって放出した。

 とある山の頂上から発射された真紅のオーラ……真紅のビームは天に向かって一直線に伸びていった。


「なっ……! そ、そんな……そんなバカな! あれほどの量のオーラを放ったのにも関わらず、星一つ破壊されていないだと……。ふざ……けるな……。ふざけるなー!」


 彼女の体から放たれた真紅のオーラは、壊人かいとのそれとよく似ていたが、壊人かいとのそれの方が彼女のそれより質・量ともに上回っていた。


「『プロジェクト・ワールドブレイク』を発動し、完遂かんすいしなければ、この世界はもうじき滅びるというのに……どうしてあんなことをした! 答えろ! 『オールマイティーブレイカー』!!」


 彼はうつむいた状態でこうつぶやいた。


「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ。発情期か? この野郎」


「な、なんですって!?」


 彼はニシッと笑いながら、カレンの方を見るとこう言った。


「お前みたいなイカれたやつが俺の妹なわけねえってことぐらい、俺にだって分かるんだよ。まあ、母さんが来るとは思ってなかったけどな」


「くそ……。どうしてこうなった……。私の計画は完璧だったはずだ。なのにどうして……」


 カレンが頭を抱えていると、ひびきがこう言った。


「あなたの計画がうまくいかなかったのは、あなたが壊人かいとを……オールブレイカーというイレギュラーな存在を甘く見たことよ。さぁ、もうあきらめなさい。あなたはもうおしまいよ」


「……ま……まだだ……。まだだあああああ!!」


 カレンは、ひびきの方へ走り始めた。

 こぶしに込めて真紅のオーラを彼女の体に打ち込むために……。

 しかし……彼女の思惑おもわく通りにはならなかった。

 なぜなら、彼がそれを阻止したからだ。

 彼は一瞬でひびきのところへ移動すると、両手を広げて彼女の行く手をはばんだ。

 そして……。


「オールブレイカー……発動」


「う……うわああああああああああああああ!!」


 彼は彼女の存在ごと破壊すると、背中から地面に倒れかけた。

 ひびきが彼をしっかりと受け止めていなければ、彼はそのまま地面に頭をぶつけていたことだろう……。


「……かあ……さん……。俺……やったよ……」


「ええ、そうね。よくできました。よしよし」


 彼女が彼の頭を撫でると、彼は「……ふっ」と笑った。


「まったく……。そういうのいい加減にやめてくれよ。恥ずかしいから……」


「そう……。でも今日だけはこうさせてちょうだい」


「……ったく、しょうがねえな……。今日だけだぞ」


「……ええ、分かったわ」


 彼はしばらく彼女に体を預けていた。

 その後、世界中で、ありえない数の流れ星が観測されたのは、言うまでもなく彼の力によるものである……。

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