八月十日……その十二……
夏休み……八月十日……。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は……とある山の守護神『ミコト』と共に彼の弟『不死鳥 心悟』とパーフェクトブレイカーこと『不死鳥 総太』のところへ行くことになった。
「ねえ、お兄さんはどうして私のこと見えるの?」
白髪ツインテールと黒い瞳と白いワンピースが特徴的な美少女……いや美幼女『ミコト』は彼にそう言った。
「いや、そんなの分かんねえよ。ただ、俺の『オールブレイカー』が関係してるなら、話は別だ」
「オールブレイカー? 何それ美味しいの?」
「いや、食べ物じゃないのだが……」
「じゃあ、服の名前かな?」
「それはウィンドブレイカー」
「うーん、じゃあ、電気を使いすぎると落ちる……」
「それはブレーカー」
「えーっと、じゃあ、剣だけを破壊する……」
「それはソードブレイカー」
「アクセルと」
「ブレーキ……って、いい加減にしろよ」
「あははは、ごめん、ごめん。つい」
「……まあ、この際見える、見えないはどうだっていい。とにかく二人のところへ……」
その時、彼は一瞬、意識を失った。
「お兄さん!」
ミコトは瞬時に反応し、彼の体を支えた。
「お兄さん、大丈夫? 顔色悪いよ?」
彼は苦笑いをしながら、こう言った。
「お……おう、俺は大丈夫だ。だからさ、そんな不安そうな顔するなよ」
「いや、でも……」
「大丈夫だって……言ってんだろ。二度も同じこと……言わせるんじゃ……ねえよ」
「……だけど、さっきより具合悪そうだよ?」
彼の身を案じるミコト。
しかし、彼は前に進むことしか考えていなかった。
「……道さえ教えてくれれば、あとは一人でも行ける。だから、頼む。行かせてくれ」
彼女は少しの間、考えた。
ここで彼を見送るか、一緒に行くか。
どちらかを選ぶしかない状況。
彼の命がかかっている選択。
彼女はこれまでずっとこの山を守り続けてきた。
しかし、このような状況に陥ったことは一度もなかった。
だから、彼女は悩んだ。
けれど、死にかけている人間をみすみす死なせるようなことをするほど、彼女は愚かではない。
「まったく……山の守護神であるこの私が死にかけの人間を助けないわけないじゃない……」
彼女は微笑みを浮かべながら、彼にそう言った。
「ミコト……お前」
「さぁ、頂上はもうすぐそこだよ。だから、もう少しだけ、がんば……」
彼は彼女が最後まで言い終わる前にギュッと彼女を抱きしめた。
「ありがとう……本当にありがとう……」
「もうー、お兄さんは大袈裟だよー。私はそこまで感謝されることしてないよー」
「いや、お前がいなかったら、俺はこの山の中で孤独死してた。だから、その……せめてものお礼だ」
「もうー、じゃあ、気が済んだら教えてくださいね。いつまでもこんなところにいるわけにはいきませんから……」
彼女がそう言うと、彼は感謝の言葉を彼女に送り始めた……。




