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八月十日……その十一……

 夏休み……八月十日……。

 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は花火大会(けん)夏祭りの帰りになんだかんだあって、とある山の頂上まで登ることになった。


「……おーい! 二人ともー! どこだー!」


 自分の声が二人に届くわけがない。しかし、しないよりかはマシだと考えた壊人かいとは、山の頂上に向かって歩き始めた。

 その頃……その二人は……。


「お兄ちゃん、遅いなー。まだかな、まだかなー」


 壊人かいとの義理の弟『不死鳥ふしどり 心悟しんご』は、そこそこ太い木の枝に腰かけた状態で足をぶらぶらさせながら、そう言った。


「……心悟しんご、しばらくそこにいてくれ」


 パーフェクトブレイカーこと『不死鳥ふしどり 総太そうた』は静かにそう言った。


「うん、分かった。気をつけてねー」


「……ああ」


 彼は巨大なクスノキの根元で金色こんじきの光を放っている物体のところへ歩いていった……。


 *


 その頃……壊人かいとは……。


「はぁ……はぁ……はぁ……お、おかしいな。今日はなんだか調子が……悪い」


 心臓に手を当てながら荒い息を壊人かいと

 身体中から溢れ出す滝のようなあせ

 今まで感じたことのない疲労感と脱力感に襲われながらも、彼は前へと進む。


「や……やばいな、これは……。意識が朦朧もうろうとしてきた……」


 その時、彼は足をすべらせてしまった。

 仰向けで倒れる壊人かいと

 すぐに体勢を立て直そうとするが、今の彼はそれすらもできないほど、ひどい状態だった。


「……く……そ……」


 彼があきらめかけたその時、誰かに腕をつかまれた。


「お兄さん、大丈夫? 夜の山道は危ないよ」


 いきなり現れた白髪ツインテールと黒い瞳と白いワンピースが特徴的な美少女……いや美幼女は、ニコニコ笑いながら、そう言った。


「……だ……れだ……。お前……」


「え? それって、私のこと?」


「他に……誰が……いるんだよ」


「へ? あ、あー、うん、そうだねー。そうだよねー。ここには私とお兄さんしかいないよねー。あはははははは……。とまあ、冗談はこのへんにしておこうかな」


 彼女は彼の腕をつかんだまま、近くの切り株まで行くと、彼をそこに座らせた。


「コホン、えーっと、はじめまして。私はこの森の守護神『ミコト』ちゃんです!」


「……はぁ?」


「分かりますよー。いきなりこんなこと言われてビックリしましたよね。でも、それが事実なのです!」


「そ、そうか……。じゃあ、なんで俺なんかを助けたんだ?」


「あー、それは単なる気まぐれです。ちょうど私の散歩コースにお兄さんが歩いているのが見えたので後をつけてきました」


「そうか……。じゃあ、ミコト様」


「様はいりません! 堅苦しいので!」


「そっか……。じゃあ、ミコト。一ついてもいいか?」


「はい、いいですよ。ただし、年齢や体重、スリーサイズなどについての質問はNGです」


「あー、はいはい、分かってるよ……。あー、そのだな。この山のどこかに俺にそっくりなやつと黒髪ショートの少年が来なかったか?」


「あー、はいはい、来ましたよ」


「そいつらがどっちに行ったか、分かるか?」


「えーっとですね。私の友達がいるところに行きましたよ」


「友達?」


「はい、そうです。私のジト目バージョンとでも言っておきましょうか」


「お、おう……。それで? そいつらが今どこにいるのか分かるか?」


「はい、分かりますよ。案内しましょうか?」


「ああ、よろしく頼む。なんか今日は体の調子が良くないから、誰かに付き添ってもらいたいと思っていたところだ」


「ほほう、なるほど、なるほど。これがロリコンというやつですね」


「いや、それは違うと思うぞ。じゃあ、案内頼むぞ。ミコト」


「はい! 任せてください! ミコトちゃんにかかれば、道案内なんて朝飯前です!」


「そうか……。頼りにしてるぞ、ミコト」


「はい!!」


 彼女は彼と手をつないだまま、山の頂上へと歩き始めた……。

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