不安
次の日の朝……田中家……。
「……う……うーん……あ……朝か……」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』はベッドから体を起こすと大きく背伸びをした。
その直後、彼女は普段彼女の部屋にはない……というより、彼女の部屋にいるわけがない存在がベッドの脇で眠っていることに気づいた。
あまり長くない黒髪の男子はスウスウと寝息を立てながら、気持ちよさそうに眠っている。
彼女は数秒間、なぜこんなことになっているのかを考えたが、それよりも学校に遅刻するのはマズイと思ったため、彼を起こすことにした。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』を……。
「か、壊人ー。遅刻しちゃうよー。起きてー」
彼女が彼の手に触れた時、彼は何かに怯えるかのように跳ね起き「俺に触るな!」と言った。
「あっ、ごめん。その……おはよう。壊人」
「お……おう、おはよう。その……体の具合はどうだ?」
「あー、うん。別になんともないよ。まあ、壊人が私の部屋にいるとは思わなかったけどね」
「いや、なんかここまで田中さんをおんぶしてきたのをちょうど家に帰ってきた田中さんのお母さんに見られて……」
「あー、その先は言わなくていいよ。どうせ、危なっかしい娘を助けていただきありがとうございます。ぜひ、泊まっていってくださいとか言われたんでしょ?」
「ま、まあ、そんな感じだ」
「はぁ……なんかごめんね。うちのお母さん、そういうところあるから」
「いや、俺は別に……。というか、早くしないと遅刻するぞ?」
「えっ? あー、忘れてた。じゃあ、今日は走ろっか」
「ああ、そうだな」
二人は食パンを口に咥えたまま、学校まで走った。
その日の帰り道……。
「ねえ、壊人」
「ん? なんだ?」
「その……昨日はありがとう。助けに来てくれて」
「いや、田中さんは悪くないよ。俺が田中さんの安否を確認しながら戦っていれば、あんなことには……」
彼が最後まで言い終わる前に彼女は立ち止まった。その直後、彼も立ち止まった。
「それって、つまり、私は足手まといってことだよね?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
「壊人はいいよね。超能力者なんか相手にならないくらい強くて」
「お、俺は別に強くなんか……」
「じゃあ、なんで私のことを上の名前で呼ぶの? 私のこと嫌いなの?」
「……それは違う」
「何が違うの? 私が超能力者じゃないから……弱いから、あんまり深く関わろうとしないんじゃないの!」
「おい、少し落ち着けよ。俺はただ……」
「もういい! 壊人のこと友達だと思ってた私がバカだった!!」
彼女はそう言うと、走り出した。
彼は彼女の手を掴もうとしたが。
「私に触らないでよ! 人殺し!!」
その言葉が彼の心に深く刺さってしまったため、彼はしばらくその場から動けなかった……。




