八月九日……その三……
夏休み……八月九日……。
「なあ、心悟」
「んー? なあに? お兄ちゃん」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』が、義理の弟である『不死鳥 心悟』にそう訊ねると、彼は小首を傾げながら、そう言った。
「いや、色々ゴタゴタしてたから忘れてたけど、お前はどうして俺と同じ力が使えるんだ?」
「え? あー、それはね。僕のもう一つの能力『模倣』のおかげだよ」
「は? お、おい、ちょっと待て。お前の超能力ってそんなのだったか? というか、前に俺が破壊したよな?」
「あー、うん、たしかにお兄ちゃんは僕の力を破壊したよ。けど、それは僕の力の一つに過ぎなかったってことだよー」
「えーっと、じゃあ、お前の本当の超能力がその『模倣』ってやつで、他のは全部他人のものってことか?」
「うん、そうだよー。けど、お兄ちゃんの能力を使うとかなり疲れるから、あんまり使えないんだけどねー」
「そ、そうか……。でも、お前が無事で本当によかったよ。お前がタイムトラベラーの背後から現れた時は、マジで焦ったなー」
彼がそう言うと、黒髪ショートの少年は悲しげな表情を浮かべながら、謝った。
「心配させてごめんね。お兄ちゃんに酷いことするつもりなんて全然なかったんだけど、いつのまにか体の自由を奪われてて……それで……」
「心悟。俺は別に怒ってないから、お前が謝る必要なんてない。けど……」
オールブレイカーは、先ほどデコピンで吹っ飛ばしたタイムトラベラーに闇しか感じられない瞳を向けながら、こう言った。
「俺の弟を利用してまで俺を倒そうとするやつには、それ相応の罰を受けてもらわねえといけねえな……」
「ひ、ひぃ!? く、来るな! こっちに来るなー!」
「はぁ? うちの大事な弟に無理やり俺を殺させようとしたお前なんかの指示に、俺が聞くとでも思ってんのか?」
「わ、私はこんなところでは死ねません! ですから、どうか助けてください!!」
「はぁ? 今さら土下座されたって、お前の未来が変わらないことくらい分かってんだろ? なあ? タイムトラベラーさんよ!」
「ひ、ひいいいいいいいい! どうか! どうかお許しください! この通りです!!」
「さあてと、ちゃっちゃと片付けちまおう」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「お兄ちゃん、ちょっと待って」
「あ?」
「この人の超能力は使えそうだから、『模倣』してもいい?」
「あー、そうだなー。たしかにこいつの能力は使えそうだな……。よし、いいぞ。ありがたく頂戴しろ」
「うん、分かった」
心悟は、タイムトラベラーの能力を『模倣』すると、オールブレイカーのところへ駆け寄った。
「お兄ちゃん、もう終わったからいいよー」
「よし、じゃあ、やるか」
「え? ちょ、ちょっと待ってください。まだやり残したことがたくさん……」
オールブレイカーは、彼が最後まで言い終わる前に力を使った。
「オールブレイカー……発動」
「ぎゃああああああああああああああああああ!!」
タイムトラベラーは、彼の力によって、跡形もなく破壊されてしまった。もちろん、存在ごと……。
「さてと……帰るか」
「うん、そうだね」
二人は仲良く自宅に戻ると朝ごはんを食べ始めたそうだ……。




