超能力者たちの天敵
とある会議室……真っ暗……。
「それでは、これよりオールブレイカーによって存在ごと破壊された野良超能力者たちを紹介します」
黒縁眼鏡と黒いスーツが特徴的な黒髪短髪の男性はスクリーンに写真を映した。
「まずは坊主頭の少年です。能力は『気炎』。その名の通り、自分の気を炎に変えられる能力者です。しかし、呆気なくやられました。知っての通り、オールブレイカーによって破壊された者たちはその直前に何かで記録しなければ、容姿と能力以外、きれいさっぱり世界から消されます。たとえそれが家族や親戚であっても……。次に行きます」
彼は二枚目の写真をスクリーンに映した。(写真の左半分は『身体能力倍増』の人。右半分は『影使い』)
「次に緑色のタンクトップを着ている金色の短髪が特徴的な男性です。能力は『身体能力倍増』。相棒の『影使い』と共にオールブレイカーを襲撃しましたが、彼の友達が乱入したことにより、敗北しました。報告によると、その人物は超能力者ではないそうなので、彼に依頼して誘拐してもらいました。それがこれです」
彼は三枚目の写真をスクリーンに映した。
「黒いローブと白い仮面を纏った彼の能力は『手品使い』。彼の友達を誘拐し、操り人形にしたところまでは良かったのですが、オールブレイカーが能力の範囲を指定したことにより、敗北しました。これにより、組織にいる野良超能力者が四人やられたことになります。この結果を踏まえて、今後の対策を……」
その時、それを見ていた男性の一人が机をドン! と叩き、怒鳴った。
「今後の対策だと? 超能力者の存在自体を破壊し、世界から消し去るような化け物をどうやって倒すというのだ! そもそもやつがどこで生まれ、どこから来たのかも分からないのだぞ!」
「あなたの仰る通り、彼は超能力者たちにとっての天敵です。しかし、彼の能力がどれほどのものなのかは未だに分かっていません。今分かっているのは、超能力者の能力だけでなく、その存在自体も破壊してしまうことと、使いようによっては物体、地形、天候、空間、時間などを破壊できるということだけです」
「そんな化け物を倒せと命令してきた上層部の人間たちはいったいどんなやつらなんでしょうね」
「まったくだ……。ブラックホールから脱出してこいと言われているような気分だよ」
「皆さま、これからの方針を説明しますので、少々、お静かに願います」
彼はそう言うとスクリーンに箇条書きで書かれた文章を映した。
「一つ、オールブレイカーに敵だと認識されない。二つ、オールブレイカーを怒らせない。三つ、オールブレイカーを倒せるその時まで彼の行動を徹底的に調査する。以上が、これから我々が彼に対して行えることです。何か質問はありませんか?」
「すまない。私には君が彼を野放しにするという風にしか聞こえなかったのだが、私の聞き間違いかな?」
「いえ、聞き間違いではありません。しかし、彼と戦うには、あまりにも情報が少なすぎます。ですので、まずは徹底的に彼を調査します。それと、前もって言っておきますが、これは私自身の考えではなく、財前会長のご意志です。なので、くれぐれも反抗的な行動は慎んでください……。以上で会議を終了します。皆さま、どうぞお気をつけてお帰りください」
その日の会議はそんな感じで終わった。
どうやら、彼が倒されるのはまだ先のようだ……。




