八月九日……その二……
夏休み……八月九日……。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』はタイムトラベラーと再会した。
え? 色々と情報が足りない?
いや、こうでもしないと話が進まないから、そこは勘弁してほしい……。
「はぁ……それで? 俺に何の用だ?」
オールブレイカーはペストマスクと黒い帽子(ハットの方)と黒いタキシードを纏った男性『タイムトラベラー』にそう言った。
「それはもちろん、あなたとの決着をつけるためですよ。それ以外に何かあると思いますか?」
「いや、一応、訊いてみただけだ。それより、今度は何をやらかそうとしてるんだ? また俺の世界に『例の物』を落とすつもりなら、今度こそお前を跡形もなく破壊するぞ?」
「ほう、それは恐ろしいですね。しかし、あなたは一つ大事なことを忘れていますよ?」
「何? それはいったいどういう意味だ?」
「ふふふふふ……では、お見せしましょう。超能力を持って生まれた一人の少年の悲しき最後を……」
「おい、いったい何を言って……」
オールブレイカーが最後まで言い終わる前に、彼の背後から現れた黒髪ショートの少年を見た瞬間、オールブレイカーは怒りを露わにした。
「おい……どうしてここに心悟がいるんだ? 説明しろ、タイムトラベラー」
「ふむ、いいでしょう。あなた方が兄弟でいられるのも今のうちですからね。特別に私の計画を教えて……」
「いいから、とっとと説明しろ。そのペストマスクを壊されたくなかったらな!」
オールブレイカーの体から放たれた赤いオーラは、いつにも増して、膨れ上がった。
「分かりました……。しかし、もう手遅れです」
「はぁ? おいおい、ちょっと待てよ、俺はまだ何も……」
彼が最後まで言い終わる前に、彼の義理の弟である『不死鳥 心悟』は彼を攻撃した。
「オールブレイカー……発動」
「なっ……!」
彼はその言葉が聞こえた瞬間、自分の力を防御に適したものへと変化させた。
要するに、バリアである。
両腕をクロスさせて、その衝撃波に耐えるオールブレイカー。
その光景を見るなり、突然笑い出すタイムトラベラー。
「はーはっはっはっはっはっは! どうですか? 自分の力で攻撃される気分は?」
「うる……せえ……。こんなもんが……俺に効くとでも思って……いるのかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
最強の超能力『オールブレイカー』。
その名の通り、全てを破壊できる力。
どんな絶望的状況だろうと、どんな物理法則だろうと彼の前では全て無意味……。
だから、それが例え、同じ力でもオリジナルに勝てるわけが……ない!!
「心悟! 目を覚ませ! 俺のこと、分かるか!?」
心悟の瞳からは、光が感じられなかったが、彼の目尻から溢れ出た透明な液体のおかげで、オールブレイカーは彼にはまだ自我が残っていることを察した。
「そうか……。よく頑張ったな……。待ってろよ、今助けてやるからな」
オールブレイカーは、ジリジリと彼のところへ向かい始めた。
その道中、タイムトラベラーに行く手を阻まれたが、威圧で吹っ飛ばしてやった。
オールブレイカーは、彼のところへ無事に辿り着くと、彼をギュッと抱きしめた。
「心悟、もう大丈夫だ。だから、もう力を使うのはやめろ」
「……お兄……ちゃん……。僕……お兄ちゃんに酷いこと……しちゃった。ごめんなさい」
「バカだな……そんなこと、どうでもいいんだよ。お前が無事なら、俺はそれで……」
「あははは……最強の超能力者がこんなに弟思いなんて誰も想像しないだろうね……」
「そう……かもな……。けど、お前は今そいつの腕の中にいるんだぞ?」
「うん、そうだね。これはとてもいいもの……だね」
二人の纏う真っ赤なオーラが天使の姿へと変化したのを見た者は、かなりいたかもしれない……。




