八月九日……その一……
夏休み……八月九日……。
「はぁ……今日も学校か。昨日のうちに学校という概念を破壊しておけばよかったかな? いや、でもそれだと田中さんと梅雨原さんに出会ってないことになるからな……。まあ、とりあえず心悟を起こしに行くか」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』はベッドから出ると、義理の弟である『不死鳥 心悟』のところへ向かった。
「おーい、心悟ー。起きてるかー?」
彼が心悟の部屋に行くと、心悟はまだ夢の中だった。
「はぁ……やっぱりまだ起きてなかったか……。おーい、心悟ー、いい加減起きろー。早くしないと遅刻するぞー」
彼は心悟の体を揺すりながら、そう言った。
しかし、彼はいっこうに起きない。
起きる気配すら感じられない。
いや、むしろこのまま起きないかもしれない。
そう思った彼は、心悟の耳元でこう囁いた。
「なあ、心悟。実は俺……明日、母さんが勝手に決めた相手と結婚するんだけど、祝いに来てくれるか?」
それを聞いた瞬間、黒髪ショートの少年は飛び起きて、彼の両肩をガッシリ掴んだ。
「嫌だ! お兄ちゃんが誰かと結婚するなんてありえないよ! そんなの僕が許さない! 誰なの! ねえ、その相手はいったい誰なの!?」
彼は少年の両肩に手を置くと、少年の目を見ながら、こう言った。
「落ち着け、心悟。俺はまだ法律的に考えて結婚できないし、あのムスコンがそんなことをするわけがないだろう? だから、お前はとりあえず起きろ。な?」
心悟はまだ少し混乱しているようだったが、彼に抱きしめてもらってからは、徐々に心を落ち着かせていった。
「もう、お兄ちゃんったら、冗談でもあんなこと言わないでよー」
「いやあ、お前がなかなか起きないから、つい」
「もう、朝からびっくりさせないでよ。本当にお兄ちゃんが結婚しちゃうかと思ったんだから」
「悪かったよ、ごめんな、心悟」
彼が少年の頭を撫でようとした時、彼は別の場所に移されていた。
それだけではない。できれば会いたくない人物がそこにいた。(とある山の中)
「お久しぶりですね、オールブレイカー。元気そうでよかったです」
「おいおい、久しぶりってレベルじゃないだろ? 俺の記憶が正しければ三日前に一度会ってるよな? タイムトラベラー」
歪んだ歴史を変えるために、さまざまな時間軸を歩んできた存在……『タイムトラベラー』。
八月六日……日本に『原爆』が落とされた日にやってきた彼は、それをオールブレイカーのいる時代に落とそうとしていたため、オールブレイカーと戦った。
その時、オールブレイカーは彼にとどめを刺さなかった。
なぜなら、彼はまだ完全には闇に染まっていなかったからである……。




