八月八日……その三……
夏休み……八月八日……。
前回までの……いや、説明する時間がもったいないから早速始めよう。
「それで? まずはどこからやればいいんだ?」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は屋上に着くなり、そう言った。
「そうね。じゃあ、学校に向かって能力を発動させてみて」
黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』は、腕を組んだ状態でそう言った。
「よし、分かった。じゃあ、やるか」
彼はそう言うと、最強の超能力が学校全域に行き渡るようにした後、その力を発動した。
「オールブレイカー……発動」
野良超能力者にとって、彼の超能力は厄介なものでもあり、手に入れたい力でもある。
もし、今も学校の敷地内にいるなら、野良超能力者の存在ごと破壊できるため、すぐに分かる。
「……うーん、やっぱりいないみたいだな……。学校以外の場所にもやってみよう」
「待って、不死鳥くん。あなたの能力は一日に何回まで発動できるの?」
「え? いや、そんなの数えたことないけど、どうしてだ?」
「まあ、その……あなたの能力は使い方次第で全てを無にできるものだから、一日に使用できる回数が限られているのかと思って……」
「うーん、一日中使ってた時もあれば、全然使わない日もあるから、なんとも言えないなー」
「そう……。なら、この町全域にその能力が行き渡るようにすることも可能なのね?」
「まあ、たまに地球全体に使う時もあるから、そんなの朝飯前……あ……」
その時、彼はうっかり口を滑らせてしまった。
「ねえ、不死鳥くん。ぜひ今の話の続きを聞きたいのだけれど、構わないかしら?」
珍しくニコニコ笑っている梅雨原さん。
しかし、その笑顔の裏にはとんでもない圧を感じられるため、断ったら殺される。
最強の超能力者である彼でさえもそう思ったため、この世には怒らせてはいけない人物が複数いるのである……。
「はぁ……分かったよ。いい機会だから、この際洗いざらい話すよ」
「そう……。なら、聞かせてちょうだい。あなたが人類に知られることなく、密かに行ってきた救出劇を」
今回、他人の記憶を操作できる野良超能力者を見つけて、破壊……つまり、存在ごと抹消するために梅雨原さんに手伝ってもらっている。
どうも彼女は一度覚えたことは忘れないという超能力であって、超能力ではないものを持っているため、その影響を受けていないようだ。
だから、彼はそのお礼として、今までのことを彼女に話したのだと思われる。
「なるほどね……。じゃあ、あなたが生まれてこなかったら、地球は軽く二、三回は消滅しているわけね」
「うーん、正確な数値までは覚えてないけど、一日に一回消滅してた時もあったな……。宇宙人の侵略、巨大隕石の衝突、謎の感染症による人類滅亡……。まあ、色々あったけど、俺が生きている間は地球は大丈夫だよ」
「そう……。あなたが色々と常識を知らないのは、私たちが体験したくないようなことを何度も経験してきたせいなのね……」
「ん? 今なんか言ったか?」
「いや、何でもないわ。それじゃあ、そろそろ仕上げといきましょうか」
「ああ、そうだな。さっさと片付けて、教室に戻ろう」
彼はそう言うと、この町全域に自分の超能力が行き渡るようにした後、その強大すぎる力を発動した……。
「オールブレイカー……発動」
その時、どこかで野良超能力者かと思われる叫び声が聞こえたが、彼の力の前では無力であるため、その者はすぐに存在ごと破壊されてしまった。
「……ふぅー、これでよし。さてと、それじゃあ、戻るか」
「ええ、そうね。早く教室に戻りましょう」
こうして、記憶を操作する野良超能力者は彼の力によって、あっけなく破壊されてしまったのであった……。
さて、ここで問題です。明日……つまり、八月九日は何の日でしょうか?
ちなみにその答えは次回、分かります。




