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八月八日……その二……

 夏休み……八月八日……。

 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は走っていた……。

 異変に気付いたのは彼の義理の弟『不死鳥ふしどり 心悟しんご』の発言からだった。

 まるで田中さんと梅雨原つゆはらさんの記憶だけ消されたような口調だったため、彼はまず田中さんの家の前に行った。

 すると、犬の散歩から帰ってきた田中さんに出会った。

 しかし、彼女は彼のことを覚えていなかった。

 だが、もしかしたら、梅雨原つゆはらさんなら、自分の覚えているかもしれない。

 そう考えた彼は、急いで学校に行き、自分のクラスを目指した。

 目的地に到着すると、彼は乱暴に扉を開けた。

 息を切らしながら、彼女の席がある場所に目を向けると、そこには黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原つゆはら かすみ』が椅子いすにチョコンと座っていた。


「あら? どうしたの? 不死鳥ふしどりくん。こんなに早く学校に来るなんて……珍しいこともあるものね」


 彼はそれを聞くと、思わず泣き出しそうになったが、その前に彼女のところへけ寄った。


「よかった……。梅雨原つゆはらさんは俺のこと忘れてないんだな?」


「それはどういう意味かしら? この世の全てを破壊できる力を持った存在と友達になったのだから、忘れられるわけないじゃない」


「そうだよな……。ああ、まったくその通りだ」


「今日のあなたは少し変よ。昨日、おかしなものでも食べたの?」


「いや、別にそんなものは食べてないけど、なんかホッとしたというか、まあ、とにかく本当によかった」


「ごめんなさい、少しあなたの言っていることが理解できないのだけれど、詳しく説明してもらえる?」


「ああ、そうだな。取り乱して悪かった。その……実はな……」


 彼はこれまでのことをできるだけ詳しく彼女に話した。


「なるほど。そういうことだったのね。でも、どうして私はあなたのことを覚えているのかしらね」


「それはまだ分からない……。けど、一つだけ言えるのは、これは間違いなく野良超能力者のせいだってことだ」


「確かにそうね。特定の人物の記憶だけが同時に……しかもかなり身近にいる人たちが忘れるなんてこと、まず起こり得ない」


「やっぱり梅雨原つゆはらさんもそう考えるよな……。だとしたら、この町のどこかにまだそいつがいる可能性は高い……よな?」


「そうね……。せめて犯人の目的さえ分かればいいのだけれど……」


「犯人の目的?」


「ええ、そうよ。まず、あなたのことを知っていて、かつ身近にいる人物の記憶に干渉し、あなたかあなた以外の記憶を消していたのだから、これは間違いなく犯人が意図的におこなったものだと思うわ。それから……」


「おい、ちょっと待て」


「何? 今いいところなのだけれど?」


「なあ、梅雨原つゆはらさん。一つだけいていいか?」


「何かしら?」



「これは俺の予想だから、間違ってたら謝る。でもどうしてもこれだけはいておきたいから、くぞ?」


「ええ、分かったわ。いつでもどうぞ」


「じゃあ、遠慮なく言わせてもらうぞ」


 彼は途中まで闇しか感じられない黒い瞳で彼女をにらみながら……。


梅雨原つゆはらさんってさ……………………一度覚えたことは絶対に忘れなかったりする?」


 後半はいつもの口調でそう言った。

 彼女はそれを聞くと、「……ふっ」と笑った。


「……ええ、そうよ。よく分かったわね。不死鳥ふしどりくん」


「いや、まあ、なんとなくそうかなって思っただけなんだが……」


「そう……。でも、どうして私が超能力者じゃないと思ったの?」


「え? いや、だって、梅雨原つゆはらさんからは野良超能力者あいつらと同じオーラを感じられなかったから……って、あー、これは言わない方がいいって母さんから言われてたけど……まあ、いいか」


 その時、彼女はクスクスと笑い始めた。


「え? なんだ? 俺、なんかおかしなこと言ったか?」


「……い、いいえ。別にあなたはおかしくないわ。ただ、あなたらしいと思っただけよ」


「そうか……。なら、いいのだが……」


「さてと、それじゃあ、不死鳥ふしどりくん。一つ、頼まれてもらえる?」


「ん? なんだ? 購買部はまだやってないぞ」


「いや、別にパンを買いに行かせるわけじゃないわよ?」


「え? そうなのか?」


「ええ、そうよ」


「なら、いったい何なんだ?」


「ふっふっふっふっふ……それはね……」


 とある学校の教室で行われたプチ作戦会議の内容を知るのは、二人の他には誰もいない……。

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