表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/405

八月七日……その十二……

 夏休み……八月七日……。


「なあ、心悟しんご。そろそろ機嫌直してくれよ」


「ふんっ!」


「はぁ……参ったな……」


 温水プールから家に帰る道中、オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は、義理の弟である『不死鳥ふしどり 心悟しんご』の機嫌を損ねてしまったことを後悔していた。

『気温上昇』使いを倒すためにとはいえ、可愛い……いや、大事な弟を連れて行かなかったのは、どうやら失敗だったようだ。


「ああ、そうだ。アイスでも買って帰るか?」


「ふんっ!」


「じゃあ、何か飲み物でも買って帰るか?」


「ふんっ!」


「……はあ……これは……ちょっと無理そうだな」


 彼がため息をくと、端末が震えた。


「はい、もしもし。あー、今か? 家に帰ってるところだけど、どうかしたのか? え? 俺そっくりの記憶喪失少年が現れたから、今からそこに行きたい? いや、無茶言うなよ。この暑い中、どうしてそんなことしないといけないんだよ。え? 何? 今日はそのまま外で食べることになりそうだから、好きな物を注文していい?」


 心悟しんごはそれを聞くと、目を輝かせた。


「……あー、まあ、それなら、いいかな……。じゃあ、なる早で帰るから、よろしく頼むぞ」


 今、彼と話していたのは二人の母親である『不死鳥ふしどり ひびき』。


「お兄ちゃん! お兄ちゃん! 早く帰ろうよ!」


「ああ、そうだな。じゃあ、先に謝っておくぞ。すまない」


「え? いったい何を……」


 心悟しんごが最後まで言い終わる前に、壊人かいとは彼をお姫様抱っこしていた。


「いいか? しっかりつかまってろよ」


「う、うん、分かった」


 彼は少しおびえていたが、同時に少し嬉しそうな顔をしていたそうだ……。


 その頃……温水プール……田中さんと梅雨原つゆはらさんは……。


「あー! もうー! どうして二人とも帰っちゃうのよー! せっかく一緒に遊ぼうと思ったのにー!」


「田中さん、二人にも色々あるのだから、そんなに怒っても何も変わらないわよ」


「ううー、でもー」


「はい、この話はもう終わりにしましょう。それに今日はこれから雨が降るみたいだから、早めに帰りましょう」


「え? そうなの? そっかー。じゃあ、もう帰ろっかー」


「そうね、そうしましょう」


 二人はそう言うと、帰り支度を始めたのであった……。


「……花火大会は二人とも来られるといいなー」


「それはまだ分からないけど、多分、大丈夫だと思うわよ」


「へえ、どうしてそんなこと分かるの?」


「それは……まあ……なんとなくそう思うだけよ」


「そっかー。まあ、あんまり期待できないけどねー」


「さて、それはどうかしら?」


「えー、何それー」


 何気ない会話を楽しむ二人の姿に合掌がっしょう……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ