八月七日……その十一……
夏休み……八月七日……。
パーフェクトブレイカーは市役所に行ったが、自分が何者であるのかを知ることができなかった。
さらに言うと、そのショックで力を暴走させ、市役所とそれに関する記憶を人々から抹消……つまり、破壊したのである。
「ああ……僕はいったい……誰なんだ?」
彼が頭を抱えた状態で市役所があった場所にしゃがんでいると、背後から誰かに話しかけられた。
「君、こんなところで何してるんだ? 見たところ高校生っぽいけど、具合でも悪いのかい?」
彼にそう言ったのは、パトロール中の警察官だった。
「いえ、その……自分が誰なのか知りたいだけです……」
「なるほど、なるほど。それじゃあ、ちょっと私について来なさい」
「そうすれば、僕が何者なのか分かるんですか?」
「うーん、それはまだ分からないが、ここにいるよりかはマシだろう。ほら、早く立って」
「は、はい」
パーフェクトブレイカーは、彼に言われた通り、ついて行くことにした。
「……まあ、とりあえず座ってくれ」
「は、はい」
ここは交番。
迷子の迷子の子猫ちゃんを思い出す人もいるだろうが、それについて語り出すと止まらなくなるため、今回は控える。
「うーん、まあ、とりあえず、ご家族が今どこにいるのか分かるかな?」
「いえ……その……分かりません」
「じゃあ、住所は?」
「分かりません……」
「どこの学校に通っているのか思い出せるかい?」
「いえ、通っていません。それどころか、記憶がほとんどないんです」
「そうか……。それはあれだな。記憶喪失というやったな」
「記憶……喪失」
「ああ、そうだ。だから、こういう時は病院に行くべきなのだが、この町にはそれが無くてね」
「それは僕が破壊し……」
彼はここでそれを言ってしまったら、話が変な方向に向かってしまうと思い、それを言うのをやめた。
「ん? どうかしたのかね?」
「い、いえ、なんでもありません」
「そうか……。では、ここで少し待っていてくれないか? こういう時に頼りになる助っ人を呼ぶから」
「はい、分かりました」
彼がそう言うと、警察官は外に出ていってしまった。
警察官は誰かと連絡を取っていた。
「……もしもし、響。俺のこと覚えてるか? そうそう、高校時代のクラスメイトでなぜかいつも隣の席だった俺だよ。でさ、早速本題に入るんだけどよ、今、俺の勤務先の交番にお前の息子そっくりの記憶喪失の少年が来てるんだよ。だからさ、一度、こっちに来てくれないか? あー、まあ、お前が外に出たくないのは知ってるけど、力を貸してくれよー。今度、奢ってやるからさー……って、え? 本当にいいのか? そうか、そうか。なら、良かった。じゃあ、待ってるからな」
彼は電話を切ると、交番の中へと向かい始めた……。




