八月七日……その六……
夏休み……八月七日……
「さてと……そろそろ帰るか」
「えー、もう少し遊ぼうよー。ねえねえ」
「いや、今日はもうダメだ。野良超能力者がどこに潜んでいるか分からないし、知り合いを巻き込みたくない」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』がそう言うと……
「それって、田中さんと梅雨原さんのこと?」
黒髪ショートと黒い瞳が特徴的な彼の義理の弟『不死鳥 心悟』がそう訊ねた。
「まあ、そんなところだ。だから、もう帰るぞ」
「……えー、そんなー。久しぶりにお兄ちゃんを独占できると思ったのにー」
「いや、それはもう充分だろ。こうやって一緒に温水プールまで来てやったんだから」
「でもでもー、まだまだ遊び足りないよー!」
「あー、聞こえない、聞こえなーい」
「もうー! お兄ちゃんの意地悪ー!」
「なんとでも言え。今日はこれから急激に気温が上昇するらしいから、早めに帰るぞ」
「えー、そんなー」
「熱中症になっても知らないぞー」
「その時はお兄ちゃんが優しく介抱してくれるから、大丈夫だよ」
「おい、勝手に決めつけるな。というか、いい加減に……」
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん? なんだ?」
「なんか、僕たち以外、全員倒れてるんだけど、どうしてかな?」
「おいおい、心悟。いくら夏だからって、そんなこと起こるわけがな……」
彼は自分の周囲に目をやると、温水プールに来ている人たち全員が倒れていた。
「お、おいおい、これはいったいどういうことだ?」
「お兄ちゃん、これはきっと野良超能力者の仕業だよ。ついでに言うと、お兄ちゃんをおびき出すための罠だよ」
「それは……まあ、そう考えるのが妥当だな。それで? 諸悪の根源は今、どこにいるんだ?」
「それはまあ……今から見つけるよ」
「いや、それだと時間がかかる。ここは俺に任せろ」
彼はそう言うと、脳のリミッターを一時的に破壊すると同時に、その他のリミッターを一時的に破壊した。
そして、仕上げに聴覚のリミッターを一時的に破壊した。
「…………見つけた」
彼はそう言うと、一瞬でその場から離れ、そいつのところへ向かった。そして……。
「よう、よくもせっかくの楽しい時間を台無しにしてくれたな」
「なっ! オ、オ、オ、オールブレイカー!? どうして俺の居場所が分かったんだ!?」
「うるさい。お前に言う必要はない」
「ま、待て! 俺は別に……」
「オールブレイカー……発動」
「うわああああああああああああああああ!!」
スタッフルームの中にいた海パン一丁の男性は、存在ごと破壊されてしまった。
能力はおそらく『気温上昇』であろう……。
「ふぅ……。さてと……戻るか」
オールブレイカーはそう言うと、彼の元へと急いだ……。




