八月七日……その五……
夏休み……八月七日……。
「ねえ、お兄ちゃん」
「んー? なんだー? 心悟ー」
白いパラソルと白い椅子がある場所で休むことにしたオールブレイカーこと『不死鳥 壊人』と彼の義理の弟『不死鳥 心悟』。
温水プールにやってきたのはいいものの、巨大なタコ型の野良超能力者が現れたり、田中さんと梅雨原さんの百合展開が始まろうとしていたところに出くわしたりと、ロクなことがないのである。
まあ、それがオールブレイカーという最強の超能力を扱える彼がここにいるが故に、起こったことなのかは分からないが、彼の近くにいるとそういうことに巻き込まれやすいのは確かである……。
「お兄ちゃんは、田中さんと梅雨原さんのどっちと付き合うなら、オーケーなのー?」
彼の発言を聞いた壊人は、ストローで飲んでいたオレンジジュースが気管に入ってしまったせいで、咳き込んでしまった。
「お兄ちゃん、大丈夫ー?」
そんな彼に対して、心配そうな表情を浮かべる心悟。
しかし、ここは兄として……いや、一人の男として、ビシッと答えるべきだと思った彼は、息を整えた後、こんなことを言った。
「いいか? 心悟。俺は二人のことをまだあまり知らないし、そういう関係になるつもりはない。だから、そういう質問を誰彼構わずするんじゃないぞ?」
彼がそう言うと、心悟はニコニコ笑いながら、こう言った。
「そんなことは分かってるよ、お兄ちゃん。まあ、仮に付き合うなら、どっちがいいかなーって、思っただけだよー」
「そ、そうなのか? うーん、それなら、少し考える時間をくれ。今から考えるから」
「あー、でも別に異性じゃなくてもいいんだよ」
「ん? それはどういう意味だ?」
「うーん、まあ、簡単に言うと、僕とかと付き合うっていうのも、アリかなーってことだよ」
壊人に向けて発せられたその言葉は、彼の頭の中を混乱させた。
「そ、それはつまり……あれか? 俺がお前を自分のものだと言い張っても、全然オッケーってことか?」
「まあ、そういうことかなー。それで、どうする? 僕と付き合ってみる? 義理の兄弟だから、別にそういうことしても大丈夫……だよ?」
黒髪ショートの少年が彼に放った言の葉は、彼の頭の中をさらに混乱させたが、彼は頭の中を一旦、空にすると真剣な表情でこう言った。
「心悟。そういうことは冗談でも言うな。お前がよくても、周りの人たちや世間がそれを認めるとは限らないからだ。だから、もう二度と今みたいなことを言うのはやめろ。分かったな?」
「うーん、まあ、それもそうだねー。じゃあ、その代わりに最初の質問に答えてよ」
「そ、それは……まあ、あれだな……。まだそういうのは早いっていうか。なんというか……」
「ふーん、なるほどねー。そっか、そっかー。まあ、お兄ちゃんなら、そう言うと思ってたから、別にいいけどねー」
彼はそう言うと、ストローに口をつけて、リンゴジュースを飲み始めた……。
彼の一連の行動の意味をオールブレイカーは考えてみたが、その結果、別に大したことではないという考えに至った……。




