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八月七日……その三……

 夏休み……八月七日……。


「お兄ちゃーん! 助けてー!」


「くそっ……! どうしてこんなことに……!」


「はーはっはっはっはっは! どうだ! オールブレイカー! 人質ごと破壊できるものなら、やってみろ! はーはっはっはっはっはっは!!」


 温水プールに突如として現れた体長八メートルほどの巨大なタコは、オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』の義理の弟『不死鳥ふしどり 心悟しんご』を人質にしたのである。

 変身系か、幻影系かは分からなかったが、とにかく野良超能力者が現れたことに変わりはなかった。


「おい! 今すぐ心悟しんごを解放しろ! そいつはもう超能力者じゃないんだ!」


「そんなことは知っている。俺はただ、お前の目の前でこいつの体にあんなことやこんなことをしたいだけだ!」


「ほう、それがお前の目的なのか。なら、俺が一方的に攻撃しても構わないよな?」


 彼の周囲に赤いオーラが漂い始めた瞬間、巨大なタコは思わず身震いをしてしまった。


「な、何なんだ! そのオーラは! 脅しのつもりか?」


 彼はヒヤリと笑うと、拳を作った。


「いーや、これはハッタリなんかじゃないぞ。俺の体の中にある破壊エネルギーの一部を体の周囲にまとわせてるんだよ。つまりは、俺に触れた瞬間、お前の足や吸盤きゅうばん跡形あとかたもなく破壊されるってことだ」


「な、なんだと! そんなの反則だ! チートすぎる!」


「なんとでも言え。お前のような野良超能力者たちをこの世から一掃いっそうするのが俺の使命なんだよ。だから……チートだろうと思ってくれて結構だ!」


「ほ、ほう、ならば、こいつの体を今すぐ……って、あれ? あいつはどこに行ったんだ?」


 巨大なタコが辺りを見渡していると、心悟しんごはオールブレイカーの背後から顔を出した。そして、ニコニコ笑いながら、舌を出した。


「こ、これはいったいどういうことだ? お前はさっきまで俺の触手によって、らえられていたはずだが……」


「バーカ。分からないのか? こいつは、俺とお前が話している間に、うまく脱出したんだよ」


「な、なんと! ただの人間に成り果てたおろものにそのようなことが……」


「それができるんだよ。だからさ、人間の底力を……あんまり舐めるんじゃねえよ!」


 彼は一瞬で巨大なタコの目の前に移動すると、力を使った。


「オールブレイカー……発動」


「う、うわああああああああああああああ!!」


 彼はオールブレイカーによって存在ごと破壊されてしまった。


「ふうー、やれやれ、なんとかなったな」


「お兄ちゃーん!」


「うわっ! な、なんだよ、心悟しんご。いきなり抱きつくなよ」


「えー、いいじゃん、いいじゃん。僕、あれでも結構、怖かったんだよー?」


「そうなのか? まあ、その……よく頑張ったな。え、えらい、えらい」


「んふふ〜、お兄ちゃんに頭撫でられるの好きだから、もっとしていいよー」


「そ、そうか。なら、もう少しだけだぞ」


「うん!」


 やれやれ、この兄弟は相変わらず、仲が良すぎですね……。

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