撃ち落とせなーい
夏休み……山……昼……。
「オ、オートモード?」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』は聞き慣れない単語に反応した。
「オールブレイカー……目標を駆逐する……」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』(オートモード)は、そう言うと闇しか感じられない瞳で彼女を睨んだ。
「こ、こんなの聞いてないわよ!」
彼女はそう言うと猛スピードで走り始めた。
今まで彼を騙し、友達のふりをしていた田中さん……。
自分が野良超能力者だということを隠し、共に高校生活を送っていた田中さん……。
しかし、今の彼女は……彼の知っている田中さんではない。
そのことを知った時、彼は己の感情を一時的に自分の能力で破壊した。
そう、それこそが彼の力の一つ……オートモードである。
「もうー! 何なのよー! いつもの壊人なら、こんなことしないはずなのにー!」
田中さんは、彼から逃げながらそう叫んだ。
木から木へと飛び移り、時折進行方向を変える彼女の移動方法は、まるで猿のようだった。
しかし……彼の目はしっかりと彼女を捉えていた。
「目標捕捉……狙い撃つ……」
彼の右手の掌から放たれた赤い光線は彼女の頭の方に進んでいった。
田中さんはそれをギリギリのところで躱すと一旦、木から降りた。
「ふうー、危ない、危ない。あんなのくらったら骨すら残らないよー」
田中さんは少しの間、考えた。
この場からどうやって逃げようかと……。
しかし、今の彼から逃げられるわけがない。
だって、今の彼は自分が知っている彼ではないのだから……。
「……目標の生存を確認。これより、追撃する」
彼はそう言うと、空を飛び始めた。
彼がなぜ空を飛べるのかは以下の通りだ。
脳のリミッターを一時的に解除して、身体能力を向上させる。
彼女に辿り着くまで空気抵抗を破壊し続ける。
それと同時に向かい風を破壊し続ける。
「う、嘘でしょー!?」
これにはさすがの田中さんも驚きも露わにした。
「と、とにかく逃げなきゃ!」
彼女はそう言うと再び木から木へと飛び移り始めた。
「ターゲットの逃走経路を予測した。これより目標を殲滅する……」
彼は、両手の掌を彼女の方に向けると先ほどの赤い光線を放ち始めた。
それに気づいた彼女は、こう叫んだ。
「そ、そんなの反則だよおおおおおおおお!!」
どうやら、今の彼には手加減する気などないようだ……。




