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衝撃の事実

 夏休み……山……昼……。


「……………………釣れないな」


 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』はポツリとそう呟いた。


「おかしいな……。もう一時間くらいっているはずなんだが……」


 彼は岩の上に座っている。

 そして、釣り糸を川の水面に垂らしている。

 そんな状態が一時間も続けば、釣りマニアでも少々、飽きてくる。


「はぁ……田中たなかさんが魚を食べたいなんて言い出さなければ、こんなことにはならなかったのにな……」


 今日で下山するため、山で食べる最後の昼ごはんとなる。

 事の発端ほったんは田中さんが山での思い出づくりをしたいと言い出したからである。

 最初、彼と梅雨原つゆはらは「カレーでいいんじゃないか?」と田中さんに提案した。

 しかし、田中さんは妙に魚を食べたがっていた。挙句あげくの果てに、魚を食べるまでは下山しないと言い始めたため、彼と田中さんと梅雨原つゆはらさんは近くの川まで行って、魚釣りを始めたのだが……。

 いっこうに魚が釣れない……。釣れる気配すらない。

 というか、魚たちがえさらいつく気配もしない。


「ふぁー、それにしてもいい天気だなー」


 彼は、大きなあくびをしながら、空を見上げた。雲一つないきれいな青空が「こんにちは」と挨拶あいさつしてきた。

 彼はそれに対して、脱帽しながら、お辞儀じぎをした。(ハットではなくキャップの方)

 この場合は座礼だが……まあ、細かいことはどうでもいい。

 とにかく彼は、ひまつぶすためにそんなことをしていた。

 その頃……二人は……。


「ねえ、田中さん」


 黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原つゆはら かすみ』は、赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中たなか いずみ』にそうたずねた。


「ん? なあに?」


「どうして魚を食べたいなんて嘘をついたの?」


「え? あー、いや、その……私たちはいつも壊人かいとに守ってもらってるから、そのお礼を少しでもしようと思って……」


「なるほど。だから、さっきからカレーを作っているわけね」


「……う、うん、まあね」


 田中さんが彼女から目をらしたのを、彼女は見逃さなかった。


「田中さん、一ついいかしら?」


「な、なあに?」


「そのカレーの中に入っているのは、食べても大丈夫な食材よね?」


「そ、それはどういうことかなー? 私にはさっぱり分からないよー」


「そう……。なら、私が味見してもかまわないわよね?」


 梅雨原つゆはらさんが彼女に近づいたその時、田中さんは両手を広げて、梅雨原つゆはらさんの前に立ちふさがった。


「ま、まだダメだよ。もう少し待ってて、お願いだから」


「あなた……いったい何をたくらんでいるの? 不死鳥ふしどりくんにお礼をしたいんじゃないの?」


「……お礼か……まあ、壊人かいとには感謝してるよ。いつも私たちのことを全力で守ってくれるから……。けど、私のお父さんを殺した超能力者には、そろそろ消えてほしいんだよねー……」


 田中たなかさんが不気味な笑みを浮かべた瞬間、梅雨原つゆはらさんはその場に倒れた。


「未来予知……発動」


 彼女は、数分後に彼が戻ってくる光景を見た。


「なるほど、なるほど。じゃあ、もう少しここで待っていようかな……。あー、でも梅雨原つゆはらさんが邪魔だから、テントの中に放り込んでおこうっと……」


 彼女はそう言うと、梅雨原つゆはらさんをテントの中に放り込んだ。


「久しぶりに『怪力』を使ったなー……。けど、もうすぐ最強の超能力を手に入れられるから、他の能力は使わなくなっちゃうなー。あはははははははは!!」


 田中さんの笑い声は、山中に響き渡った……。

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