忍者
夏休み……山……。
「ねえ、壊人」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』は、オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』にそう訊ねた。
「んー? なんだ?」
「これって食べられる?」
田中さんは、採ったキノコを彼に見せた。
「うーん、それはダメなやつだな。というか、さっきからそういうのしか採ってないぞ」
「そっかー。けど、逆にすごくない?」
「ああ、そうだな。毒キノコだけを採ってこれるやつなんて、そんなにいないよ」
「そっかー。けど、そんなに褒めなくてもいいよー」
「いや、褒めてないから……」
二人のやり取りを見ていた黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』は、自分も田中さんのようにドジっ子なら良かったと一瞬思ったが、サバイバルにおいて、その能力は邪魔になることに気づいたため、それ以上考えるのをやめた。
「さてと、そろそろテントに戻ろ……」
その時、彼は首筋に飛んできたクナイを片手で受け止めた。
「はぁ……二人とも……悪いが、ここから動かないでくれ。すぐに終わらせるから」
「う、うん、分かった」
「分かったわ。気をつけてね」
「ああ、気をつけるよ」
彼はそう言うと、クナイを投げてきた者のところへ向かった。
おそらく、野良超能力者がここまで彼を追ってきたのであろう……。
片道三時間はかかる山まで追ってくる……。
これが彼の知名度が高いせいなのか……それとも、そういう野良超能力者が存在するだけなのか……。
どちらかは分からないが、これだけは言える。
彼の行動パターンが野良超能力者たちに読まれつつある……と。
「……能力は『忍者』か……。こういう場所なら、俺に勝てると思って俺を誘い出したんだろうが……少し考えが甘かったな……」
彼は、自分の心臓に刺さりかけたクナイを人差し指と中指で受け止めると、それが放たれた方向に投げた。
「……ぐあっ!!」
「……どうやら、ビンゴみたいだな」
彼は、敵の位置を特定すると、脳のリミッターを一時的に破壊した。
身体能力を限界以上まで引き出すこの技は、並の人間では扱えない。
しかし、あらゆるものを破壊できる彼なら、この程度のことは造作もないのである。
「ま、待たれよ! 拙者は、修行をしに来ただけでござる!」
「へえー、じゃあ、映画村にでも行ってきたらどうだ? そこなら、雇ってもらえるかもしれなうぞ?」
「だ、黙れええええええええええええええええ!!」
忍者装束を纏った彼は、オールブレイカーに向けて、クナイを六本投げた。
しかし、オールブレイカーはそれらと彼をいっぺんに破壊した。
「オールブレイカー……発動」
「うわああああああああああああああああああ!!」
その声は山の中に響き渡ったが、オールブレイカーによって、その声すらも途中で破壊されてしまった。
「さてと……帰るか」
彼はそう言うと、二人のところへ戻り始めた……。




