表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/405

スナイパー

 夏休み……山……。


「ただいまー……って、どうして田中さんは涙目になってるんだ?」


 早朝トレーニングから帰ってきたオールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中たなか いずみ』にそう言った。


「……そ、それはその……もう帰ってこないかもしれないって思ったから……だよ」


「……田中さん」


不死鳥ふしどりくん、こういう時は頭を撫でてあげるのがベストよ」


 彼の耳元でそうささやいたのは、黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原つゆはら かすみ』だった。


「そうなのか? じゃあ、やってみるか」


 彼は田中さんに近づくと、頭を撫で始めた。


「ど、どうして私の頭を撫でるの?」


「いや、その……こういう時はこうすればいいって梅雨原つゆはらさんが……」


 彼が最後まで言い終わる前に、彼女は彼に抱きついた。


「……バカ」


「な、なんだよ、いきなり。俺、なんかおかしなことしたか?」


「ううん、壊人かいとは悪くないよ。私がこうしたいと思ったら、やっただけだよ」


「そうか……。なら、いいんだが……」


 彼女はしばらく彼から離れなかった……。

 その頃……スナイパーは……。


「……ふっふっふっふっふ……。覚悟しろよ、オールブレイカー。今日がお前の命日だ!」


 山のてっぺんに立っているオールブレイカーに当たるように銃口を向けた彼は、そう言いながら引き金を引いた。(スナイパーライフルの色は銀色である)

 目標までの距離は約三百メートル。

 しかし、彼の能力は『狙撃手スナイパー』。

 どんなところからでも、確実に獲物を撃ち抜ける。

 そう……彼以外なら……。


「な、なにぃ!?」


 彼が先ほどった銃弾は、オールブレイカーの頭……というより髪の毛に触れた瞬間、消滅した。

 そんな経験など今までしたことがなかった彼は、ひどく動揺した。

 しかし、この仕事が終われば、たんまり報酬をもらえる。

 だから、彼は諦めなかった。

 その時までは……。


「おい、お前……。よくもやってくれたな」


 彼の背後にオールブレイカーが現れた瞬間、彼は恐怖で体が震え始めた。


「俺はさ……このあと、キノコ狩りをするんだよ。だから……お前はここで破壊する」


「ひ……ひいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


 迷彩服を着ている彼は、そう言いながらオールブレイカーに銃口を向けたが、その時にはもう彼の死は決まっていた。


「オールブレイカー……発動」


「うわああああああああああああああああああ!!」


 彼はオールブレイカーの力によって、存在ごと破壊されてしまった。


「こんなところまで俺を追ってきたやつが……いや、やつらがいるのか……。まったく、油断も隙もねえな」


 彼はそう言うと、二人のところへ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ