山
夏休み……山頂……。
「すぅー……はぁー……」
深呼吸した後、彼女は大声で叫んだ。
「やっほおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
その声は遠くの山々にまで響き渡った。
そのくらい大きな声であった。
「ホント、元気だよな……田中さんって……」
彼女にそう言ったのは、オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』だった。
「えー? そうかなー?」
彼女が……『田中 泉』が小首を傾げると、黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』がこう言った。
「そうね……。たしかに田中さんは、いつも無駄に元気よね」
「む、無駄なんかじゃないよー。私にとっては、これが普通だよー」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子は、梅雨原さんに向かって、そう言った。
「いやいや、そんなことないだろ。三時間も歩いたのに、息が上がってないやつなんて初めて見たぞ」
最強の超能力者は、首を横に振りながら、そう言った。
「うーん、そうなのかなー?」
彼女は再び小首を傾げた。
「ああ、そうだとも……。さてと、そろそろ休憩するか」
彼は、背中に背負っていたリュックを地面に置くと、思い切り背伸びをした。
「……うーん、でもまあ……山はいいな。空気がおいしいっていうかなんというか……」
彼がそう言うと、田中さんは彼の横に行くと、こう言った。
「うん、そうだねー。海もいいけど、山もいいよねー」
彼女がそう言うと、梅雨原さんは腕を組みながら、こう言った。
「そうね……。山の天気は変わりやすいけど、その分、山頂に着いた時の達成感は普段感じることができないものよね」
「ああ、そうだな……。夏風邪を引いている心悟には悪いが、今回は山の素晴らしさをたっぷりと味わおう」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』がそんなことを言っていた頃、彼の義理の弟である『不死鳥 心悟』は、彼の家にあるベッドに横になっていた。
「ハックション!!」
彼の今の体調では山に登ることなど到底できない。
だから、彼はしばらく義理の母親である『不死鳥 響』と共に留守番をしなければならないのである……。
「お兄ちゃん……早く帰ってきてー……。僕、寂しくて死にそうだよー」
残念ながら、彼の願いはしばらくの間、叶うことはない……。
なぜなら、彼の義理の兄と女子二人が山から戻るのは、二日後だからである……。




