表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
404/405

行っておいで

 朝。


「……起きて」


「え? あー、なんだ。みちるか。どうしたんだ?」


 みちる(キス魔)は挨拶代わりけん栄養補給として俺のくちびるにキスをした。

 寝起きの人の口内は便器より汚いとかなんとか。

 まあ、こいつにとってはそんなことどうでもいい。

 だって、こいつにとってはこれが食事でこれが当たり前なのだから。

 栄養補給を終えるとみちるは俺を一階のリビングまで引っ張った。普段はおとなしいこいつが俺の手を引っ張るほど重要なことがそこにあるのだろうか。


「あっ、お兄ちゃん。おはよう」


「ああ、おはよう……って、一晩でこんなに作ったのか?」


 リビング……いや庭まで大量のピコピコハンマーで埋め尽くされている。

 文奈ふみな(幼天使)がどうやって量産したのかは分からないが、とりあえずこれで準備は整ったことになる。


「うん、そうだよー。あとはこれを世界中に放つだけだよー」


「そ、そうなのか」


 何人いるのかも分からない野良超能力者たち。

 それがボタン一つでこの世からいなくなる。

 力を使おうとするたびに俺の能力が発動するのだから、そいつらの人生は良くも悪くも必ず変化する。嫌でも変化する。


「これで俺の役目は終わるんだな」


「まあ、そうなるかなー。けど、お兄ちゃんは死ぬまで最強の超能力者『オールブレイカー』だよ」


「それなんだよな……。どうにかして人になれないのか?」


「うーん、難しいねー。まあ、天界と地獄を巡っていれば、いつかその方法が見つかるかもしれないねー」


「それ、早く死ねってことか?」


「ううん、別にそんなことは言ってないよ。可能性があるとしたらの話だよ」


「そうか。じゃあ、とりあえず役目を終えてから考えるか」


「そだねー」


 俺は文奈ふみなから手渡された無駄にでかい赤いボタンを人差し指でポチッと押した。

 すると、ピコピコハンマーたちが一斉に飛び立った。

 行っておいで、そして終わらせてくれ。

 この地獄のループを……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ