本当の気持ち
夏休み……海……。
「梅雨原さん、ちょっといい?」
黒髪ショートの少年(オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』の義理の弟)『不死鳥 心悟』は黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』にそう訊ねた。
「何かしら?」
「その……梅雨原さんは察しがいいから、気づいてると思うけど……」
「海に複数の野良超能力者たちが潜伏している……で合っているかしら?」
「す、すごいね。梅雨原さんは超能力者でもないのに、そんなことも分かっちゃうんだね」
「そう? 私はただ、相手の言動や仕草、状況から、色んなことを想像するのが得意なだけよ」
「うーん、それはもう一種の超能力じゃないかな……まあ、いいや」
「それで? 私に何か用?」
「あー、そうそう、これからその人たちを海から追い出しに行くから、お兄ちゃんと田中さんには内緒にしてくれないかな?」
「それは別に構わないけど、あなたはそれで大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。それじゃあ、行ってきまーす!」
彼はそう言うと、人混みの中に消えていった。
「……さてと、それじゃあ、私はさっき倒れた田中さんのところにでも行きましょうか……」
梅雨原さんはそう言うと、田中さんとオールブレイカーがいるパラソルの下まで行くことにした。
*
そういえば、不死鳥くんと田中さんって、どういう関係なのかしら?
友達にしては、距離が近いというか、妙にいい雰囲気なのよね……って、私は何を考えているの!?
こんなの私らしくないわ! しっかりしなさい! 私!
梅雨原さんは、ペシペシと両頬を叩いた。
夏の暑さのせいで叩いたところが少々、ヒリヒリしていたが今の彼女には、そんなことなど別にどうでもよかった。
二人がどういう関係なのかをずっと考えながら歩いていた梅雨原さんは、自分が彼のことを好きなのではないかと思ってしまった。
「わ、私は別に……不死鳥くんのことなんてなんとも思ってない……のかしら?」
彼女は、ぽつりとそう呟いた。
いいえ、これはきっと夏の暑さのせいで、頭が少しおかしくなっているだけよ。
そう、悪いのは夏の暑さよ。私のせいじゃない。
その直後、二人がいるパラソルの下にやってきた彼女は見てしまった……。
田中さんが彼の頬にキスをしているところを……。
その時、彼女は胸骨付近に針で刺されたかのような痛みを感じた。
それはそんなに痛くはなかったが、妙に後味の悪いものだった……。




