初めての友達
連休が終わった。今日から学校だ。(五月)
「……あと何日、この学校に居られるかな……」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は連休前の夜、なぜか学校に来ていた、となりの席の『田中 泉』に超能力者であることがバレてしまったため、そんなことを言ったのである。
彼が学校の正門をポケットに手を入れたまま通り過ぎようとした、その時……。
「ふ、不死鳥くん!」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』が正門の陰から現れた。
「なんだ? 俺に何か用か?」
「あ、あのね、あの日のことは誰にも言ってないから……その……私と友達になってください!」
彼女は彼に頭を下げながら、右手を差し出した。
「……あのさ、一つ訊いていいか? お前にとって友達って、なんだ? 自己満足するための道具か? それとも、上っ面だけの関係か?」
彼女は彼の目を見ながら、彼の手をギュッと握った。
「私にとっての友達はそんなものじゃないよ。私はただ、その人と私自身が道を間違えないようにしたいだけだよ」
「そうか……。つまり、田中さんは……」
「泉って呼んでよ。もう友達なんだから」
「それはこれから俺が決めることだ。勝手に決めるな」
「ご、ごめん……」
「けどまあ……母さんが友達できたのかって連休中、ずっと訊いてきたから、なってやってもいいぞ。その……友達ってやつに……」
彼女は目を輝かせながら、彼の手をブンブンと上下に動かした。
「ありがとう! 不死鳥くん! じゃなくて、壊人!!」
「……一つ言っておくが、俺の正体がバレたら、俺はここから出ていくから、そのつもりでいろよ」
「うん! 分かった! 壊人の秘密は誰にも言わないって約束するよ!」
「そうか……。なら、早く教室に行くぞ。もうすぐ授業が始まる」
「あっ、うん。そうだね。それじゃあ、行こう。壊人!」
「ちょっ……あんまり引っ張るなよ」
彼は彼女に手を引かれながら、教室へと駆けていった。
*
「起立、礼……!」
『ありがとうございましたー』
「はぁ……やっと終わった」
「ねえねえ、壊人。この後、時間ある?」
「ない」
「そっかー。それじゃあ、また今度……って、今日はそういうわけにはいかないよ!」
「なんでだよ……。というか、俺は今日もやらなくちゃいけないことがあるんだよ」
「それって、もしかして超能力者狩りのこと?」
「正しくは『野良超能力者狩り』だ。まあ、このところ、そういうやつらがこの辺にいるから、気をつけろよ」
「うーん、じゃあ、私を家まで送ってくれない?」
「……は?」
「だーかーらー! 私を家まで送って!!」
「耳元で叫ぶな。あと、近い」
「あっ、ごめん。それで、どうかな?」
まあ、高校生になって初めてできた友達を失うわけにはいかないよな……。
「分かった。一緒に帰ろう」
「そっかー。やっぱりダメかー……って、家まで送ってくれるの!」
「二度も言わせるな。とっとと帰るぞ」
「あっ! ちょっと待ってよー!」
彼女は彼に置いていかれないように教室を飛び出した……。




