心理テスト?
その日の帰り道……。
「ねえ、不死鳥くん……」
「ん? なんだ?」
黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』はオールブレイカーこと『不死鳥 壊人』にそう訊ねた。
「田中さんのこと、好き?」
「……と、唐突だな……おい」
「いいから、答えて」
田中さんを家まで送り届けた後、やけに静かになったと思ったら、そういうことか……。
しっかし、いっこうに止まないな……この雨……。
彼はそんなことを考えた後、彼女にこう言った。
「ああ、好きだぞ。まあ、友達としてだけどな」
「……そう」
彼女はそう言うと、しばらく何も言わなかった。
六月の上旬……。
北海道以外では、梅雨と呼ばれる現象が起こる。
なんでも、この時期になると梅雨前線が発生するらしく、そのせいで日本のほとんどの地域では雨の日が続く……らしい……。
彼は梅雨原さんがそんな質問をしてくるとは思っていなかったせいか、黒い傘を頭上でクルクル回しながら、なんとなくそんなことを考えていた。
「……ねえ、不死鳥くん」
「ん? なんだ?」
「あなたは、家族と友人……そのどちらかしか救えない状況に陥った時、どちらを選ぶ?」
「……それってもしかして、心理テストってやつか?」
「……ま、まあ、そんなところよ」
「そっか……。うーん、そうだな……。俺なら……」
「どちらも助ける……でしょう?」
「ん? ああ、そうだけど、なんで分かったんだ?」
「それはね、あなたは今までそんなことをしてきた人じゃないって、私が知ってるからよ」
「そうか……。つまり、梅雨原さんには、なんでもお見通しってことだな?」
「……ま、まあ、そうね。特にあなたのことなら、なんでも知ってるわよ」
「へえ、そうなのか。じゃあ、俺が今日これから食べる夕食とか分かったりするのか?」
「そうね……。今日はこんな天気だったから、普通、買い物に行く気には、ならないわね……。だとすると、簡単にできるレトルト食品……それでいて、栄養バランスのことも考えるとなると……ズバリ、『レトルトカレー』ね。そして、あなたは『中辛』を選ぶと思うわ」
「おー、すごいな。そこまで分かるのか。けど、それは今日の夕食まで分からないな」
「そうね。だけど、不死鳥くんのお母様なら、きっとそうすると思うわ」
「はははは、確かにあの人なら、やりそうだな」
二人はそんなことを話しながら、小雨が降り注ぐ道を歩いていたそうだ……。




