文芸部とは
その日の夕方……。
「はぁ……結局、今日はずっと雨だったねー」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』は下駄箱で溜め息を吐いた。
「まあ、そんな日もあるさ。というか、梅雨原さんは?」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は彼女にそう訊ねた。
「えーっと、たしか部活に行ってから帰るって言ってたよ」
「え? 梅雨原さんって、部活に入ってたのか?」
「うん、たしか、文芸部……だったかな?」
「そうか……というか、文芸部って何だ? 園芸の親戚か何かか?」
「あー、そうだよね……ここに来るまで壊人は転校ばかりしてたから、分からないよね……。えっとね、文芸部っていうのは……」
「小説に限らず、短歌・俳句・詩などを創作し、校内のみに配布する部誌にそれを載せたり、コンクールにそれを応募したり……。まあ、要するに文学という名の荒野に身を投じている人たちが集まっている部活よ」
黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』は田中さんが説明する前に『文芸部』という部活が何なのかを簡潔に……そして完璧に説明してみせた。
「……そうか……そんな部活なのか」
「うーん、まあ、だいたいそんな感じ……かな? というか、どうして今日はそんなにキレッキレなの?」
「そう? 今日締め切りの小説を昨日の夜、読み返していたら、展開のスピードとキャラクターたちのセリフと結末が気に食わなかったから、書き直しただけなのだけれど……」
「へ、へえ、そうなんだ……」
「ところで、梅雨原さんは今回、どんな小説を書いたんだ?」
「そうね……。不死鳥くんが私の書いた小説の内容を理解できるようになるには、とりあえず『機○戦士ガ○ダム 鉄○のオ○フェンズ』を観た方がいいわね」
「えっと、梅雨原さん。一つ訊いていい?」
「何かしら?」
「梅雨原さんが書いた小説って、もしかして……ボーイズ……」
「勘違いしないで。私はただ、男同士もしくはロボット同士の熱い戦いが好きなだけよ。だから、決してそのような内容ではないわ」
「そっか。なら、壊人が観ても大丈夫そうだねー」
「あ、あのー、二人ともさっきから何の話をしてるんだ?」
「あー、壊人は別に気にしなくていいよー」
「そうなのか? じゃあ、そろそろ帰るか」
「うん、そうだね」
「そうね。けど、不死鳥くんに一つだけ言っておきたいことがあるわ」
「ん? なんだ?」
「逆から三話目がよくネタにされてるけど、あれはネタにされるべきではない内容よ。だから、ちゃんと最後まで観ること……いいわね?」
「あ、ああ、分かった。今日から少しずつ観ることにするよ」
「よろしい。じゃあ、帰りましょうか……」
今日の梅雨原さんからは、梅雨とは思えないほどの熱意とエネルギーを感じた……。




