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メモリアルブレイカー

 火曜日……夜……高校のグラウンド……。


「出てこい! 『夜を支配する者(ナイト・ドミネイター)』!! そして、二人を解放しろ!!」


 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は誰もいないグラウンドで叫んだ。


「待っていたぞ、オールブレイカー。いや、『不死鳥ふしどり 壊人かいと』」


 彼の目の前に現れたのは、黒影製の人であった。


「おい! 二人を早く解放しろ! さもないと、俺のとっておきでお前を破壊するぞ!!」


「ふっふっふっふっふ……。どうやら、自分が置かれている状況が理解できていないようだな」


「なに? それはどういう意味だ?」


「要するに、お前の友達は俺の気分次第で簡単に殺せる状況にあるということだ。だから、妙な真似まねはするなよ?」


 どうする? ここでこいつを倒したとしても、二人の居場所が分からなければ、結果的には俺の負けだ。

 けど、このまま何もせずに、ただじっとしていることなんて俺にはできない。

 考えろ……考えろ! 俺!!


「……オールブレイカー。文字通り、この世の全てを破壊できる力……。全ての超能力者を唯一、殺せる能力……。俺がなぜ、こんなことをしたのか分かるか? ……それはな……って、おい、オールブレイカー、ちゃんと俺の話を聞いているのか?」


「……はぁ」


 彼は考えるのを……やめた……。


「もういいや……。お前が二人を解放しないなら、こっちにも考えがある」


「ほう、それはぜひ聞きたいものだな」


「……今から俺は、お前にとって一番、大切な物……いや、一番大切な存在をお前の目の前で破壊する」


「ほう、お前はそんなこともできるのか。だが、そのようなことが本当にできるのか?」


 オールブレイカーは闇しか感じられない黒い瞳でそいつを見ると、不気味な笑みを浮かべた。


「なら、今すぐ試してやろうか?」


 こ、こいつにそんな力があるという情報は知らされていないが、まあ、ここは好きにやらせてみよう。


「ああ、いいぞ。お前の好きなようにしろ」


「……そうか。なら、久しぶりに使うか……。メモリアルブレイカーを……」


 メモリアル……ブレイカー?

 ま、待てよ……。もし、それが俺の記憶に作用するものだったとしたら、どうする?

 俺から余分な記憶を削除した後、俺にあんなことやこんなことをするのではないのか?


「ま、待て! 俺が悪かった! だから、考え直してくれ! 何でもするから! この通りだ!!」


 黒影製の人は、彼に土下座をしながら、そう言った。

 しかし……。


「は? 俺の大切な友達をさらっておいて、よくそんなことが言えるな。俺のとっておきをくらいたいのか?」


「ゆ、許してください! もうこんなことしませんから!!」


「……じゃあ、早く二人がいる場所まで案内しろ。そうすれば、考え直してやる」


「わ、分かりました! それでは、案内します!」


 彼はスッと立ち上がると、オールブレイカーのところに行き、彼の手をギュッと握った。


「おい、誰が俺に触っていいと言った?」


「い、いえ、その……こうしないと、俺の作った真っ暗な空間に入れないんですよ」


「……なるほど。じゃあ、俺を早く二人のところに案内しろ。あと、妙な動きをしたら、この手を握りつぶすから、覚悟しろよ?」


 な、何なんだよ……こいつは……。

 まるで悪魔と契約しているようだ……。


「わ、分かりました。それでは、参りましょう」


 彼は黒影製の人と共に真っ暗な空間の中に、入っていった……。

 はぁ……こんな芝居をする羽目になるとはな……。

 けど、こうしないと二人を助けに行けなかっただろうから、しょうがないよな……。

 彼はそこに向かう道中にそんなことを考えていた。

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