夜を支配する者
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は同じクラスの女子二人を家に招き、テスト勉強をしていたが、夜になったので二人を家まで送ることにした……。
火曜日……夜……夜道……。
「いやー、すっかり遅くなっちゃったねー」
「そうね。けど、この調子なら、不死鳥くんが赤点を取ることは、まずないと思うわ」
「それは二人の教え方がうまいからだよ。でも、こんな時間まで俺に付き合う必要はないんだぞ?」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』がそう言うと、赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』はこう言った。
「私は私のやりたいことをやってるだけなんだから、壊人は気にしなくていいんだよ」
「そ、そうなのか?」
彼がそう言うと、黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』がこう言った。
「ええ、そうよ。私たちはただ、やりたいことをやっているだけよ」
「そうか……。じゃあ、俺は二人を家まで無事に送り届けないといけないな!」
「うん! 頼りにしてるよ! 壊人!!」
「おう! 任せとけ!」
しかし、その直後、電信柱の先端から飛び降り、彼に襲いかかった者がいた。
「ヒャッハー!!」
「ぐっ……!!」
彼は両腕をクロスさせて、そいつの攻撃を防いだ。
「ほう、俺の攻撃をくらっても、立っていられるのか。やっぱすげえな、お前は」
「そりゃどうも。けど、お前の攻撃……なかなか良かったぞ?」
そいつは彼から距離を置くと、こう言った。
「最強の超能力者に褒められる日が来るとは思わなかったが、俺の力はこんなもんじゃないぜ?」
逆立った黒髪と漆黒の瞳が特徴的な少年は、ニシッと笑った。
「まあ、そうだろうな。けど、お前の能力って、いったい何なんだ? 今のは単なる『筋力増強』じゃないんだろう?」
「うーん、そうだな……。まあ、あえて言うなら、『瞬間強化』ってやつだな」
「そうか……。なら、お前に攻撃される前に、倒せばいいんだな?」
「ふん、やれるもんなら、やってみろおおおお!!」
彼はオールブレイカーに向かって、全力で走り始めた。
「おらああああああああああああああああああ!!」
彼は一気に距離を詰めると、オールブレイカーの顔面に拳を放った。
しかし、オールブレイカーはそれを片手で受け止めた。
「な、なにいいいいいいいいいいい!?」
「お前は動きが単調すぎるんだよ。もっと色んな動きを体に叩き込んでから、俺に挑むべきだったな」
「く、くそおおおおおおおおお! 離しやがれ!!」
彼はもう片方の拳でオールブレイカーの顔面を殴ろうとしたが……。
「オールブレイカー……発動」
「うわああああああああああああああああああ!!」
その前に彼の能力で存在ごと破壊されてしまった。
「……おーい、二人とも、もう出てきていいぞー……って、あれ? 二人とも、いったいどこに……」
彼が最後まで言い終わる前に、彼の耳元でこう囁いた者がいた。
「……俺の名前は『夜を支配する者』。二人を返してほしければ、学校のグラウンドまで来い。分かったな?」
また……俺のせいで……二人が危険な目に……!
けど、今はそんなこと考えてる場合じゃない!
冷静になれ! 俺!
「……ああ、分かった。ただし、二人に手を出したら、俺のとっておきでお前を破壊するから、覚悟しろよ?」
「ああ、分かった。必ず来いよ」
そいつはそう言うと、ふっと消えた。
「……待ってろよ! 二人とも! 今、助けに行くからな!!」
彼はその直後、学校に向かって全力で走り始めた。




