性別不明
その日の放課後……。
「お兄ちゃん、僕、少し用事があるから、先に帰るね」
「おう、気をつけて帰れよ」
「うん!」
黒髪ショートの少年『不死鳥 心悟』はオールブレイカーこと『不死鳥 壊人』にそう言うと、教室から出ていった。
「……それで? なんで田中さんと梅雨原さんはさっきから俺を睨んでるんだ?」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』と黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』は彼をずっと睨んでいた。
二人に殺意は感じられないが、ずっと見られているのは気持ちの良いものではない……。
「ねえ、壊人。あの子って本当に壊人の弟なの?」
「不死鳥くん、もしかしてそっちの趣味があるの?」
「……はぁ……分かったよ。今から説明するから、そんなに睨まないでくれ」
数分後……。
「そっか……。じゃあ、あの子はもう普通の人間なんだね……」
「ああ、そうだ」
「良かったわ。あなたにそっちの趣味がなくて」
「なあ、梅雨原さん。そっちの趣味ってなんだ?」
「あなたがそれを知る必要はないわ」
「そ、そうか……。なら、そろそろ帰るか」
彼らは夕日に照らされて、オレンジ色に染まっている教室から出ていった……。
下校中……。
「……はぁ」
「壊人どうしたの? 何か嫌なことでもあったの?」
「不死鳥くん、何か悩みがあるなら、相談に乗るわよ?」
「ああ、ありがとう。実はな……」
彼は二人に例の少年が自分に懐きすぎて困っていることを話した。
「壊人。そういうのは今のうちだけだから、甘えさせてあげた方がいいよ」
「そうなのか?」
「まあ、あなたが本当に彼のことが鬱陶しくなったら、ビシッと叱るのもいいと思うわよ」
「そ、そうか……」
この二人に兄弟または姉妹はいない……。
「でも、なんであいつは俺と風呂に入る時、いつも体をタオルで隠してるのかな?」
『……え?』
二人はそれを聞くと、近くの公園まで彼の手を引っ張った。
「な、なんだよ、二人とも。俺、なんか変なこと言ったか?」
「ねえ、壊人。あの子は男の子なんだよね?」
「あ、ああ、そうだと思うが……」
「いい? 不死鳥くん。あの子が本当に男の子なのかどうか今日、確かめなさい」
「確かめるって、どうやるんだ?」
「それは……その……あれよ……。だから……」
「えっと、もしかして、俺があいつの『あそこ』を触って確かめるってことか?」
「え、ええ、そうよ。それしか方法がないわ」
「うーん、まあ、別にいいけど……。あー、でも、それであいつが傷つくのを見たくないな……」
「いい? 壊人。これは、あの子のお兄ちゃんである壊人が確かめておくべきことだよ!」
「そ、そうなのか?」
「お兄ちゃーん! 何やってるのー?」
「おう、心悟。ちょうどいいところに。なあ、お前って……」
「あー! 私、用事を思い出したー!」
「わ、私も……」
「それじゃあ、壊人。また明日ねー!」
「またね、不死鳥くん」
「お、おう、またな」
例の少年が現れると、二人はなぜか急に帰ってしまった。
「今のって確か、お兄ちゃんの友達……だよね?」
「あ、ああ、そうだ」
「ふーん、仲良いんだね。羨ましいよ」
「安心しろ。お前にもそのうち、いい友達ができるから」
「えー? そうかなー?」
「……ああ、きっとな……。な、なあ、心悟……」
「ん? なあに?」
「お前ってさ……もしかして、女の子……だったりするのか?」
「…………」
「……心悟?」
「ねえ、お兄ちゃん」
「な、なんだ?」
「世の中には知らなくてもいいことがあるんだよ」
「で、でも……」
「僕が男だろうと女だろうとお兄ちゃんは僕のお兄ちゃん……そうだよね?」
「あ、ああ、そうだな」
「なら、この話はもう終わり。一緒に帰ろう、お兄ちゃん」
これ以上、こいつに何を訊いても、答えてくれそうにないな……。
「……そう……だな。じゃあ、一緒に帰るか」
「うん!」
それから二人は仲良く家に帰り、夕食を食べ、風呂に入り、一緒のベッドで眠ったという……。




