八月十五日……その十八……
夏休み……八月十五日……夜……学校……。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は……色々あって、理科室に来ている。そして、そこにいた『笹宮 一郎』を破壊しようとしたが、養護教諭の『佐藤 満子』に止められた。
彼女が言うには、今回の一件は彼を破壊する必要はなく、話し合いで解決できるものらしい……。
壊人はしぶしぶ彼女の案に乗ることにした……。
「……まあ、その……なんだ……。俺も無抵抗の相手を破壊するほどのやつじゃないからさ……。その……少し話さないか?」
彼がそう言うと、『笹宮 一郎』はこう言った。
「そうだな……やるなら、やれ! ……と言いたいところだが、私もこんなところで死にたくはない」
「じゃあ、決まりだな」
「ああ、そうだな……」
彼がそう言うと、壊人は背もたれのない木の椅子を持ってきて、彼から二メートルほど離れたところに、それを置くと、ゆっくり腰掛けた。
彼は、先ほどまで自分が座っていた背もたれのない椅子に座った。
ちなみに、佐藤先生は壊人の隣に座っている。
「……えーっと、じゃあ、まずは吹雪のことについて、色々教えてくれないか?」
「何? 私の最高傑作である吹雪のことを何も知らないのか?」
「あー、まあ、あいつが戦闘用だってことと今は俺の専属メイドみたいな関係になってるってこと以外は、何も知らないな」
「そうなのか? てっきりあらゆる超能力をコピーできる代物であることを知った上で側に置いているものだと思っていたのだが……」
「は? あいつって、そんなことができるのか?」
「当たり前だ。あれは対オールブレイカー用の自動人形……『白銀 吹雪』なんだぞ? それくらいできないと、瞬殺されるのがオチだ」
「瞬殺ね……。まあ、間違ってはないが……俺は手当たり次第、破壊するような狂人じゃないぞ?」
「そうなのか? では、この星の真の王というのも、やろうと思えば、全てを無にできるというのも、この星の全ての女性と肉体関係を持っているというのも嘘なのか?」
「誰だ! そんな噂流したやつは! 俺がそんなやつに見えるか?」
まあ、二番目のやつは間違ってないんだけど……。
「そうか。やはり噂は、あてにならないな」
「その噂を信じてたのは、どこの誰だったっけ?」
壊人がそう言うと、彼は壊人から目を逸らした。
「さあて、誰のことかな?」
「はぁ……別にいいよ……あんまり気にしてないから……。けど、俺を殺すために吹雪を作ったのなら、どうして感情なんてものを与えたんだ?」
「それは……より人に近い方が命令しやすいからだ」
「違うな……。あんたは、あいつのことを娘のように思ってるはずだ。じゃなきゃ、あんなことにはなってないだろ?」
「……それは」
「違うとは言わせねえぞ。あんたは、あいつの父親のような存在だ。そんでもって、俺のところにあいつが行った時に初めて気づいた……。あいつがあんたにとって、必要不可欠な存在だということに……」
彼は少し俯くと、こう呟いた。
「そう、かもしれないな。いつのまにか私は、あの子を本当の娘のように思っていた……。なるほど。だから、私は腹が立っていたんだな……」
「……じゃあ、あいつはあんたに返す方向でいいんだな?」
「ああ、そうしてくれると助かる」
「ただし、二度と俺の目の前に現れるな。その時はあいつと共に、あんたを破壊する」
「ああ、分かっているよ。ありがとう、オールブレイカー」
「礼を言うのは、まだ早いぞ。さてと……それじゃあ、これから連れてくるから、少しここで待っててくれ」
「分かった……」
彼がそう言うと、壊人は一度、自宅へ帰った。
そして、彼女を連れてくると、彼の元へ帰るよう促した……。




