新しい家族
二人を無事に救出し、家まで送り届けたオールブレイカーは例の黒髪ショートの少年が待っている公園にやってきた。
「やあ、どうやら、うまくいったみたいだね」
執事服を着た少年はオールブレイカーこと『不死鳥 壊人』にそう言った。
「ああ、その件に関しては礼を言う。ありがとう」
「最強の超能力者から感謝されるなんて、僕は幸せ者だね」
「いや、それは言い過ぎだろ」
「まあ、そうかもしれないね……。さてと、それじゃあ、約束通り、僕の力を破壊してもらおうかな」
「本当にいいのか? 超能力者にとって、自分の力を失うってことは、体の一部を失うのと同じなんだぞ?」
「僕はね、自分から超能力者になったわけじゃないんだよ。こんな力、最初から要らなかった。だから……」
「別に最後まで言う必要はねえよ。もう分かったから……。けど、お前の能力って何なんだ?」
「まあ、分かりやすく言うと、精神感応ってやつだよ。けど、そのせいで僕はよくこき使われたよ」
「そうか……。破壊するのは正直もったいないような気もするが……。まあ、お前の言う通りにするよ」
「うん、ありがとう。さぁ、一思いにやってくれ」
「よし、じゃあ、行くぞ」
オールブレイカーは一瞬、彼の能力を破壊するのを躊躇ったが、彼の望みを叶えるために力を使うことにした。
「オールブレイカー……発動」
彼は少年の能力だけを破壊した。
「……ありがとう……本当にありがとう。これで僕は自由だ。けど……」
「けど?」
「その……今まで学校に行ったことがなかったから……その……」
「……学校に行ってみたい……か。よし、なら、今から俺の家に来い。俺の母さんなら、なんとかしてくれるはずだ」
「え? いいのかい?」
「ああ、いいぞ。まあ、母さんに言ってみないと分からないから、まだ決まったわけじゃないけどな」
「そっか……。でも、ありがとう。君は優しい人なんだね」
「……さ、さぁ、もう行くぞ。日が暮れる」
彼はオールブレイカーが少し照れていることに気づいたが、あえてそのことは言わずに、ニコニコ笑いながら、彼の後を追い始めた……。
月曜日……。八百万高校……。
「どうも! 僕は壊人お兄ちゃんの弟『不死鳥 心悟』です! 今日からよろしくお願いします!」
その直後、教室内に歓喜の声が飛び交い始めた。
そんな中、赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』は隣の席に座っている壊人にこう訊ねた。
「ねえねえ、壊人に弟なんて居たの?」
「ん? ああ、まあ、三日前……からだけどな」
「へ、へえ、そうなんだ……」
「……まあ、仲良くしてやってくれ」
「う、うん、分かった……」
つまり、例の黒髪ショートの少年はオールブレイカーの弟として、彼の学校にやって来たのである……。




