八月十五日……その二……
夏休み……八月十五日……朝……学校……。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は黒猫のクルスと白猫のシルクと共に教室にやってきた。(二匹とも擬人化している)
『ご主人様、今朝のことについて説明してください』
「今朝のこと? いったい何の話だ?」
巫女の格好をした美幼女二人は、彼の机をバン! と叩いた。
『とぼけないでください。私たちが例のバニーガールのことを知らないとでも思っているのですか?』
神通力で壊人以外には見えないとはいえ、早めに対処しなければ、クラスメイトにおかしなやつだと思われてしまう。
彼はため息を吐くと、二人の頭に手を置こうとした。
すると、二人は彼の手をピシッと叩いた。
『すぐに頭を撫でようとしないでください。それより、早く説明してください』
「……嫌だ……と言ったら?」
『ご主人様をめちゃくちゃにします』
あー、これはダメだな。
よし、ちゃんと説明しよう。
「分かった、分かった。ちゃんと説明するよ」
『嘘だったら、ご主人様を調教します』
「その見た目でそういうこと言うなよ……。えーっと、まあ、あの人は……その……夢の中で出会った人でな……」
彼はバニーガールのお姉さんについて、二人にきちんと説明した。
その直後、二人は彼の太ももの上に飛び乗った。
『ご主人様、ごめんなさい。私たち、勘違いをしてました』
「勘違い?」
『はい。てっきりご主人様には、そういう趣味があるのかと思っていました』
「なるほど。俺が通りすがりのバニーガールを家まで連れて帰って、あんなことやこんなことをしていたんじゃないのかと思っていたんだな?」
二人はコクリと頷きながら、こう言った。
『はい、その通りです』
「俺がそんなことをするやつだと思われていたとは……。はぁ……俺って信用されてないんだな……」
『そ、そんなことはありません。けれど、もしそうだったとしたら、私たちは用済みになるかと思ったので……』
彼は二人の頭の上に手を置くと、優しく撫で始めた。
「いいか? 二人とも。俺たちはもう家族だ。家族っていうのは切っても切れない絆で繋がってる。だから、用済みになる時なんて、一生来ないんだよ」
『……ご主人様』
二人は彼に抱きつくと、彼の首筋に顔を近づけた。
そして、ゆっくりと甘噛みした。
『ご主人様……』
「な、なんだ?」
『ずっと……ずーっと……私たちのそばにいてくださいね?』
「ああ、俺はずっと二人のそばにいるよ」
彼が二人をギュッと抱きしめると、二人は彼を抱きしめる力を倍増させた……。




