八月十日……その二十……
夏休み……八月十日……。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は夢の中で彼の妹(?)に出会った。彼女の話を聞いているうちに、彼女の秘密が明らかになっていった。
彼女が彼の松果体の中に住んでいるということを知った壊人は唖然とした。
「な、なあ、小雪。本当にお前は俺の松果体の中に住んでるのか?」
彼は白髪ロングと血のように赤い瞳(ジト目)と白いワンピースが特徴的な美少女……いや美幼女『不死鳥 小雪』にそう言った。
「うん、そうだよ。ついでに言うと、お兄ちゃんが力を使う度に私が補助してたんだけど、気づいてた?」
「うーん、実感が全くないんだが……」
「そりゃそうだよ。お兄ちゃんが力使う時って、手足を動かす時と同じだもん」
「えっと、それはつまり、意識して使ってないから、お前の存在に気付けるわけがないってことか?」
「うん」
「そうか……。けど、どうしてそんなところに住んでるんだ?」
彼が彼女にそう訊くと、彼女は疑問符を浮かべた。
「あれ? もしかして、自分の力の仕組みも分かってないの?」
「……す、すまない。そういう細かいことに意識を向けたことがないから、残念ながらよく分からない」
「そっか……。けど、大丈夫だよ。今から私が教えてあげるから」
「えーっと、それは禁則事項……じゃないのか?」
「うーん、まあ、グレーゾーンってところかな。だから、他の人に言っちゃダメだよ?」
「お、おう、分かった」
「よし。それじゃあ、話すよ」
彼女はそう言うと、彼の力の仕組みについて話し始めた。
「お兄ちゃんの超能力『オールブレイカー』はこの世のあらゆるものを破壊できる反則級の力なのは知ってると思うけど、発動するには色々と条件があるんだよ」
「条件?」
「うん、そうだよ。えーっと、それは大きく分けて三つあるから、よーく聴いておいてね」
「ああ、分かった」
「えーっと、一つ目は強制的に松果体を覚醒させることで……二つ目はそれによって発生する『闇お兄ちゃん』を抹消することで……三つ目は私に代償を支払うことだよ」
彼は絶句した。数秒間、動けなくなるほど、彼女が発した言葉の数々はぶっ飛んだものだった。
「……うーん、色々と言いたいことはあるが、『闇お兄ちゃん』ってのは何なんだ?」
「うーん、まあ、簡単に言うと、お兄ちゃんの負の感情から生まれた存在……かな?」
「それって、悲しいとか苦しいとかっていう感情のことか?」
「うん、そうだよー。お兄ちゃんが力を使う度にどんどん生まれてくるから、私が片っ端から食べ……じゃなくて、抹消していってるんだよー」
ん? 今なんか恐ろしいことを言ってたような……気のせいか。
「そ、そうなのかー。じゃあ、お前に代償を支払うっていうのは何なんだ?」
「えっとねー、私はお兄ちゃんがスムーズかつ安全に力を使用できるようにしてるから、それなりの代償を支払ってもらわないと釣り合いが取れないでしょ?」
「ち、ちなみにその代償ってのは、何なんだ?」
「うーん、いつもはお兄ちゃんの細胞を一つ食べてればいいんだけど、今回は悪い方に覚醒しかけたから、それだけじゃ足りないんだよねー」
彼は彼女の口から唾液が出始めたのを見逃さなかった。
彼がこれから支払わなければならない代償がどんなものか……。
それが分かるのはもう少し先のようだ……。




