はじまり
地下研究所……。
「緊急事態発生! 緊急事態発生! 職員は直ちに避難してください! 繰り返します! 職員は直ちに……」
壁は壊され、人々は逃げ惑い、監視カメラや非常用のトラップは無効化された……。
「……ば、化け物め! お前みたいな化け物がこの世に生きていられると思うなよ!」
白衣を着た職員の一人が床に座ったまま、そう言った。おそらく、腰が抜けてしまったのだろう……。
「……僕は……何なんだ?」
「し、知るか! そんなこと! とにかく部屋に戻れ! そうすれば、お前を地上に出してやる!」
「本当か?」
「あ……ああ、本当だ。だから、部屋に戻れ!」
しかし、全裸の少年はその場から動こうとしない。
「何をしている。さっさと部屋に……」
「僕が何者なのか教えてくれ。そうすれば、部屋に戻るから」
「それはできない。なぜなら、お前は……」
「あなたの名前はオールブレイカー。この世の全てを破壊する者よ」
「……オール……ブレイカー?」
彼の前に現れたのは、白衣を纏った黒髪黒目の女性だった。
「な、なぜ、あなたがここにいるのですか! 不死鳥所長!!」
「なぜって、この子は私の息子よ? 別に会いに来たっていいじゃない」
「そ、そいつがあなたの息子? そ、そんなはずありません! だって、あなたは誰とも……」
「まあ、私が人工的に作り出した存在だから、親は私一人だけどね」
「世界最強の超能力者であるあなたがなぜ、そのようなことを……」
「私はね、もう飽きたのよ。過去も未来も見えてしまう私にとっては退屈で仕方ない。だから、この子に全てを壊してもらうことにしたの」
「そんな理由で……そんな理由でそのようなことができると思って……」
「できるわよ。この子なら、世界の全てを壊してくれる。けど、この子はまだ何も知らない。だから、学校に行かせようと思うのよ。どう? いい考えでしょ?」
「こ、こんなところで私は死ぬわけにはいかないんですよ。妻と娘のためにあなたとそのガキを殺します!」
「オールブレイカー。やりなさい」
「やるって、何を?」
「この男を破壊しなさい」
「それはできないよ。僕にそんな力は……」
「いいえ、あなたにはその力がある。だから、やりなさい。ついでに、この研究所も。さぁ、早く」
少年は少し迷った。
しかし、彼には破壊すること以外、何もできることがなかった。
だから、破壊した……。
「オールブレイカー……発動」
「うわああああああああああああああああああ!!」
____それから十年後……。彼は高校生になっていた。
「不死鳥くん。自己紹介してくれる?」
「はい、分かりました」
彼は白チョークで書かれたその名前をバックに自己紹介をした。
「はじめまして。不死鳥 壊人です。今日からよろしくお願いします」




