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こちら学園探検部 ~別名指輪物語、正確には『ハーレム王と指を指される僕と変人女子高生達の輪による同好会の物語』~  作者: 於田縫紀
第2部 二つの塔 第4章 再挑戦! 二つ目の塔

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第63話 舞台魔術の種明かし

「まず、図書館別室のお掃除。ありがとうございました」

 その言葉がどういう意味なのか、僕が理解するのに数秒要した。

「これで当分の間はお掃除をしなくて済みますわ。例年ですとそろそろお掃除をしなければ色々出てくる時期ですので。地下道を通っていくと泥で汚れるし、かといって地下道内もお掃除しないといざという時危ないしで……」


「先生はあそこの塔の事、知っていたのですね」

 佳奈美の質問に小暮先生は頷く。

「ええ勿論。あの部屋の副管理責任者、今は私ですから。除霊とか調伏とかの技能を持つ教員は余り多くないので、私にまで分担が来ているんですよ。私は高等部のしかも理科担当なのに、一応司書教諭の免状も持っているからといって」

「そういう事は、小暮先生も除霊とか調伏とかが出来るという事なのですね」

「ええ」

 先生は佳奈美の質問に頷いた。

「簡単な事しか出来ませんけれどね。神社の娘だと言いませんでしたっけ。ですからそれなりの方法論なり手段なりは持っています。神式だとお札を事前に大量に用意したり、色々面倒くさいんですよ。そういう意味では仏教式はいいですわね。発動が早い短い真言が色々揃っていますから」


「悪かったな。ここまで実は学園探検部(うち)のお約束コースという訳なんだ」

 神流先輩が苦笑いをしながらそう説明。

「でも今年の三人は優秀だったな。GW中だけで全部制覇、しかも施設を何も壊さずに済んだしな」

「去年は酷かったですからね。おかげでまだ地下道、完全に直っていませんし」

 直っていないって?

「実は去年の夏休みまで、図書館別室からの地下道もコンクリ製だったんだ。ただちょっと出くわした魔物に思わず私がびびってさ、ちょっとだけ本気なファイアボールを撃っちゃって」

 えっ。

「あの時は宮野君がいましたからね。とっさに熱低減魔法かけたので人間の方は無事だったのですけれど。通路部分のコンクリは異常高温で軒並み崩壊、別室の電気もつかなくなってしまったのですわ」

 おいおいおい、あれは元から手彫りっぽい訳じゃ無くて、先輩が壊した跡だったのか。

「その熱で図書館別室の方は平気だったのですか」

「あちらはどんな魔物が出ても耐えられるようにね。色々と魔術的措置がしてありますから」

 なるほど、だったら通路部分もそうしておいてくれよと思う。

 でもそれを一番言いたいのは神流先輩自身だよな。


「まあ熱のおかげで地盤自体はそこそこ固まったようですけれど。まだ予算措置が下りないので当分は仮の木材による補強だけですわ。

 さて、次は松戸さんにお伺いします。あの図書館別室にあった本、読みましたか。もしくは読みたいと思いますか」

 佳奈美は首を横に振った。

「いや、題を見て止めたのです。あれを必要とするほど人類はまだ成長も衰退もしていないのです。今の時点では人類はあれをただ保存しておくのが正しいのです」

「その通りですね。先生もそう思います」

 小暮先生は頷く。

「禁じられた神の記憶や忌まわしき方法論等は、まだ人類には不要でしょう」

 一体どんな本があったんだろう。

 まあほとんどは洋書だったようだし、きっと題を聞いてもわからないけれどさ。


「ところで先生に聞きたい事があるのですけれど、よろしいでしょうか?」

 佳奈美が逆に先生に尋ねる。

「いいですわ。何なりと」

「私は一体何者なのですか。あの測定器は反応するけれど、私には特に何かの力があるようには思えないのです」

 先生は頷く。

「松戸さんの力は物理的な力とかではありませんからね。私達は通称『錬金術師の血』って呼んでいます。見て、触れて、感じたものの内在する規則や法則を自然に理解できる、そんな特別な能力を持っている人のことです」

「それって普通の事では無いのですか」

 佳奈美にとっては普通の事なのだろう。

「人は皆あなたのようには理解できないのですよ。普通は見て、観察して、とことん観察した上で推論して、その推論が正しいかどうかを検証して。それで始めて理解が始まるんです。勿論他人が記した説明書を読むという形でもいいのですけれど。そう言えばあなたの事ですからきっと理解できるでしょう」

 佳奈美は頷いた。

「確かに理解できたのです」

「科学的知識が普及した時代ですからね。『錬金術師の血』はごく希ではあるけれどいろんな人に発生はしているんです。ただ受け入れる環境がないからほとんどは高校時代までには消え去るんですけれどね。その辺は柏君のおかげでしょうかね。まあそれはさておき」


 そして先生は今度は雅の方を向き直る。

「石動さんも無事カミングアウトできたようですね。まあ通販で大麻を注文した時点でそれはわかっていましたけれど」

「ええ」

 雅は頷く。

「自分だけが特別で特殊なんて事は実はそんなに多くないんです。この小さい同好会だって魔女に錬金術師に巫ですからね。それに柏君のようにそんな事を気にしない人もいますし。

 だからと言ってむやみやたらカミングアウトする必要は無いですけれどね。まあ何とかなるんですよ。だからもっと大らかに生きて大丈夫。自分に自信を持って大丈夫。あなたのは特技であって欠点ではないのですから」

 雅は頷いた。

「あと2人の種別バッチは後程用意しますね。機会は多くないでしょうけれど仲間内で自分の特性を知らせておきたい時等に使って下さい。(かんなぎ)はプリーストのP、錬金術師はアルケミストのA。まあ学園探検部と同じような特殊技能持ちの技能を運用している処でしか通じないですけれど」


「前に言っていた種別Wとかはそういうものなんですか」

 なるほどなと僕は思う。

「あれ、前に他で聞きましたか」

「初っぱなの地下道お試しで大学部のワンゲルに会ったんですよ」

 神流先輩が先生に説明。

「なるほど、あそこにはライカンスロープとプリーストがいますからね。この学園、そういった特殊技能持ちが何故か多いんですよ」

 そう言って先生は小さく頷いた。


 そして。

「さて、話はちょっと変わるのですが。ちょっと疑問があるのですよ」

 佳奈美が口を開く。

「学校の地下道の案内図を見ると、コンクリ壁でない場所は二箇所あるのです。そして一箇所は図書館別室用の通路で神流先輩により破壊されてコンクリ壁で無くなったときいたのです。では残りの一箇所は何があるのですか」

「それはこの場では秘密だな」

 神流先輩がそう言ってにやりとする。

「それが知りたければ自分で調べな」

「そうですね」

 先生も頷いた。

「ここの同好会は学内探検部。それを調査して調べるのが活動内容です。

 さて、風が少し寒くなってきました。そろそろ戻りましょうか」

 先生の言葉に皆が頷いた。

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