第62話 昼食、そしてドライブ
まずはちょい汚れた服を着替える。
ついでに寝間着代わりの昔のジャージと更に明日の着替えを用意。
更に余分だけれど吟味した荷物も追加してディバックに入れ、僕は寮の前の道路へと急行した。
既に女性陣四人は到着している。
相変わらず準備が早い。
普通は女子の方が準備に時間がかかると言われているのだけれど。
まあ僕が遅れたのは余分な荷物を持っているせいもある。
「遅いぞ、朗人」
「でもまだ時間前でしょう」
「あれを見ろ」
お馴染みの箱形な車が角を曲がってくるのが見えた。
まだ時間まで十分あるのに。
「皆早すぎますよ」
「多分先生、飢えているぞ」
それは神流先輩の言う通りだろう、きっと。
そんな訳で小暮先生の愛車、乗車。
「皆さんはお昼御飯、食べました」
いきなりそう聞かれた。
「まだです」
「ならスーパー行きますね」
とりあえず飯を作れという事が確定した。
「探検の方はどうでした」
「今回は上手く行きました。それで無事学校にも戻って来れて」
「良かったですね。先生の方もおかげでGWでテントや沢装備の確認と整備が出来ました。あとは週末に出かけるだけですね。
ところでお昼は早く出来るものでお願いしますね」
先生自身が作る気はないのはわかっていたけれど、僕の乏しいレパートリーが無くなりそうだ。
まあ献立はスーパーで安いものを探しながら考えよう。
あと昼は早く出来るものだな。
先生だけで無く他の皆さんも飢えているだろうし。
そんな訳で昨日も来たスーパーに到着。
野菜類を適当に買ってと。
お、白菜が今日は安いな。
この時点で晩飯は鍋に決定。
ついでにもやしも買っておこう。
玉子も大分使ったからまた十個パックひとつ購入。
そして思いついて焼きそば購入。
今日のお昼はこれでいいや。
味噌も購入。
肉は今日は豚の薄切りが安いな。
あとは豆腐や薩摩揚げなどを……
そんな感じに買っていく途中。
「これもお願いしますね」
先生が厚切りベーコンを追加した。
これは間違いなく昨夜のアニメの影響だろう。
今朝出たばかりの先生の自宅に再び到着。
早速先生宅の大きいフライパン二つを使って十二人分の焼きそばを作成。
もやしとキャベツと挽肉と玉子だけの簡単な奴だ。
皆さん飢えているから必要なのは早さ。
結果、予想通り十二人分がきっちり無くなる。
何か人数と量の計算が合わないような気がするがまあいいだろう。
先生がお金を出してくれているし。
飢えが遠のいたところで。
「さて、干したテント等を片付けますよ」
という作業が始まる。
① 端っこを持って広げて半分ずつに折っていき
② 袋に入る太さになったらくるくる丸めて
③ 収納袋に押し込む訳だ。
テント二つにビニールシート、人数がいるので作業は早い。
「前も思いましたけれど、テントって結構小さくなるんですね」
「これは登山用ですからね。ザックに入れて持ち歩くの前提ですから」
そういいながら洋服ダンス風の押し入れにしまいこみ、展開している布団干しを片付けて終了だ。
「さて、もしよければ軽くドライブでも行きませんか」
うん、このまま暇な時間を過ごすよりその方がいいな。
「いいですね。場所は何処ですか」
「海ですよ。折角千葉に来たんですから山だけに引き籠もっているのも勿体ないでしょう」
そんな訳で車はスタートする。
荷物が無いから三列フルに使う。
助手席が神流先輩、二列目が佳奈美と雅、三列目が僕という感じで。
郊外の道路という感じの場所を淡々と走り、最後はこの車だとすれ違うのは厳しい道を上り詰める。
灯台の横を通ったその先で視界が開けた。
そこそこ広い駐車場がある。
何か地域のおばあちゃんがやっているような売店もテントで営業中。
そして東側から南側の視界がとてもいい。
「この辺りで一番海の見晴らしがいい場所ですよ」
その先生の言葉で車を降りる。
確かに見晴らしがいい。
水平線の連続で地球が何となく丸く見える程だ。
気持ちいい風も吹いている。
売店があるという事はそこそこメジャー処なのだろう。
でも人は決して多すぎる感じでは無い。
それに基本的には空と海と緑の見晴らししかない場所だ。
売店も観光客相手というより半ば地元の懇談会状態になっている感じに見える。
ただ繰り返すが、見晴らしだけは確かに凄くいい。
それだけでここに来る価値はあると思える。
「学校からも三十分もかからないで来る事が出来るんですけれどね。でもほとんどの生徒はこの見晴らしを知らないんです。わざわざ学校からここへ来るの、車が無いと大変ですからね。それでも結構もったいない気がして」
確かに勿体ないかもな。
そう思いながら皆で何となく歩いて崖近くのベンチへ。
ベンチを向かい合わせに二つ使い、先生と先輩、雅佳奈美僕という感じで座る。
「さて、ここでちょっと先生として、ちょっとしたお礼と質問をしていいですか?」
何だろう、視線が先生に集中する。




