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こちら学園探検部 ~別名指輪物語、正確には『ハーレム王と指を指される僕と変人女子高生達の輪による同好会の物語』~  作者: 於田縫紀
第2部 二つの塔 第3章 二つ目の塔

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第52話 臨時作戦会議開催

「それでは気をつけて下さいね」

 という言葉を残して先生のデリカD5は去って行った。

 そして残ったのは僕ら四人。

「では現地へ出発するか」

 僕らは歩き出す。

 見ると雅が歩きながら『林道入口出発・12:31』とメモしていた。

 例の探検ノートと題したノートにだ。

 なかなかマメな性格のようである。

 さて、道は取り敢えずタイヤの跡がしっかりついている。

 回りはススキやら何やら色々茂っているけれど。

「ちょっと暑いのです」

「確かにな」

 まだ五月だけれど日射は夏のような感じ。

 じりじりという感じで太陽が照りつける。

「でもこんな中何キロも歩かなくて助かったのです」

「確かにな」

 そんなこんなで十分も歩かないうちに、いかにもという感じの鉄っぽいフレームで出来た電波塔が姿を現した。

「最終目標が見えたのです」

「よし、さっさとクリアしちまおうぜ」

 といいながら近づいていく。


 道のカーブを曲がりきったところで電波塔の全景が目に入った。

 下は1階建てくらいのコンクリートの箱。

 その上に鉄骨フレーム構造の電波塔が乗っかった感じで立っている。

 下の箱部分はこっちから見る限り窓らしきものはない。

 日に焼けた感じの金属製の扉が1枚、こっち側にあるだけだ。

 不意に雅が足を止めた。

「ちょっと待って下さい。止まって!」

 いつもと違う感じの口調。

 何だろう。

 僕ら三人はそれぞれ雅の方を見る。

「嫌な感じです。朗人さん、測定器持っていますか」

「ああ」

 ディパックを下ろして上のポケット部分からヒューム値測定器を取り出す。

 スイッチを入れると表示は一・〇を示した。

「一・〇で正常値だけれど」

「そのままゆっくり、測定値を確認しながら一歩ずつ等に近づいてみて下さい」

 雅が妙に確信を持った感じで言う。

 別に僕は何も感じないけれどな。

 そう思いつつも僕は言う通り一歩ずつ、ゆっくりと歩く。

 三歩目で測定器の数値が急に瞬いた。

 ドキッとしつつ、僕は測定値の数値を報告する。

「〇・九に減りました」

「何だと」

 神流先輩と佳奈美が測定器を覗き込む。

 測定器の数値がまたバタバタ瞬いた。

「しまった。近づきすぎるとやっぱり駄目か」

 あわてて先輩が戻る。

 ついでに佳奈美まで。

 魔女が近づきすぎて測定値がぶれた模様だ。

「とにかく〇・九に下がったのは確かなんだな」

「はい」

 僕は頷く。

「しょうがないな」

 先輩は肩をすくめて言った。

「このまま突っ込む訳にも行くまい。ちょっと離れて作戦会議だ。今後の方針を皆で考えよう。でもその前に朗人、念の為測定器の警報と書いてあるスイッチを入れておけ。〇・一以上動くとブザーが鳴る」

 そんな機能があったのかと思って測定器を見る。

 良く見ると確かに下側面にそんなスイッチがあった。

 言われたとおりスライドしてONにしておく。


「さて、それでは臨時作戦会議だ。まずは佳奈美、状況整理」

 佳奈美はもっともらしく頷いて口を開く。

「了解なのです。

 まずは現在の事実を確認するのです。

 ○ 二つめの塔を発見した。

 ○ 塔にある程度近づくとヒューム値が下がる。

 ○ 帰りのバスまでまだ三時間以上ある。

こんなところだと思うのです。よろしいでしょうか」

「その通りだな」

 先輩の言葉に僕も雅も頷く。

「ならば次に進むです。

 この事態に取り得る作戦はこんな感じなのです。

 ○ 扉を開けて当内部に侵入。

 ○ 扉を開けないで周囲を観察。

 ○ 更に上の鉄塔部分を観察。

 ○ 危険なので何もせず勇気ある撤退。

 ここでこれらの選択肢を選ぶ前に神流先輩に確認したいのです。

 神流先輩の魔法、地下道の時のような化け物を倒す事に使えるのでしょうか」


 先輩は肩をすくめて見せた。

「確かに使えない事はないんだけどな。ちょっとばかり威力が強すぎちまう。

 例えばリング部分のような地下道で使うとな、最低威力でも電線やパイプは損傷というか崩壊。下手すればコンクリ部分にもボロボロになる被害が出てしまう訳だ。

 そんなもんだから出来れば使いたくない」

「了解。基本的には使うな。非常時のみ使用可能。使ったらダッシュで逃げろ。こんな感じで宜しいのですか」

「その通り、わかっているじゃないか」

「了解なのです」

 佳奈美は頷く。

 でも逃げろとはどういう意味で使っているんだ?

 学校当局の追及からという訳じゃないよな。


 そう考えたところでふと僕は気づいた。

 佳奈美の視線や顔の方向が左側に集中している。

 右側をほとんど見ていない。

 ちなみに今は四人で輪になっている状態。

 佳奈美から左に順番で神流先輩、僕、雅だ。

 つまり佳奈美は雅の方を全く見ないようにしている。

 僕までは『よろしいでしょうか』等同意をとる時に向く。

 つまりきっと明らかに意識的にそうしている。

 理由は、と考えて何となく繋がりそうな事を思いつく。

 雅がヒューム値の低下かその原因に気づいた事。

 そして以前に神流先輩から言われた言葉。

 『あいつも別の意味で問題を起こさないよう、今まで隔離環境で育ってきたんだ』

 それが何か結びついているような気がする。

 更にその後。

 地下道探検のあの後。

 学園内事務局付近のあたりで雅が僕と佳奈美に聞いた質問。

「神流先輩の魔法、怖いと思いませんか?」

 その質問の意味は何だったのだろう。

「なら私も……」

 そう言った言葉の先にあったのは。


 きっと佳奈美は何か気づいている。

 僕より先に、僕より少ない手がかりで。

 それでいてあえて何も言わない。

 いや、言わないようにしている、という感じだろうか。

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