第41話 本来活動
今回は58話、探検編その1になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
四月三十日火曜日放課後の理化学実験準備室。
「先日は合宿ご苦労だった」
神流先輩が重々しく話し出す。
「我が方の被害は甚大であったが、取り敢えず顧問にして担当である小暮先生への義理は果たした。その点については皆に感謝したいと思う」
うん、言いたい事はわかった。
佳奈美もうんうん頷いている。
雅だけはわかっていない様子だけれども。
きっと雅は被害が無かったに違いない。
僕や佳奈美は翌日酷い筋肉痛だったのだけれども。
「なお最新の小暮先生情報を伝えよう。先生はGW後半の五月三日から四日の日程で、今度はワンダーフォーゲル部の新人歓迎合宿に参加するそうだ。場所は奥多摩。
我々としてはせめてここで彼らの冥福を祈りたい」
先輩、その表現だとワンゲル死んでいます!
でも言いたい事はわかる。
佳奈美も手を合わせて目を瞑っていたりする。
鎮魂の鐘でもあれば鳴らしたいところだ。
チーンという感じで。
「さて後顧の憂いは晴れた。そこでGW後半戦は我々の本来の活動、学内探検を執り行おうと思う」
「異議無し!」
何処かの社員総会みたいな表現で佳奈美が賛意を示した。
まあ、僕としても異論は無い。
雅も頷いている。
「それでいくつか学内の謎に挑むプランを用意した。これがレジュメだ」
神流先輩、態度は大きいが結構マメだ。
合宿の時の注意書きでもそう思ったけれど。
何でもパソコンで打ってレジュメにしてくる。
しかも説明が何気に細かい。
僕、佳奈美、雅はそれぞれ配られた紙を読む。
■ 厳選・学内の謎究明コース
○ 視線の行方
各園内には六箇所の偉人像が存在する。
何故かその偉人像は全て西方を向いている模様である。
この理由は何か解明する。
※ 難易度 初級
○ 時計塔の謎
大学人文教育連本棟の前に立つ時計塔。
この時計塔には入口らしきものが何処にもない。
どこから入るのか。
そして中には何があるのか。
※ 難易度 初級~中級
○ 二つめの塔
伝承によればこの学園には時計塔の他にもうひとつの塔がある。
それは建築時の資料及び費用等からみても明らかである。
この塔の所在を明らかにするとともに、内部を探索する。
※ 難易度 中級~上級
おいおい、ゲームかよ。
そう思いながら読み切ってしまう。
きっと先輩はこのレジュメを作るのにTRPGを意識したのだろう。
でもなかなか面白そうだ。
しかも学内地図まで裏面に印字してある。
相変わらず作業がマメだ。
全部読み終わったらしい佳奈美が神流先輩に尋ねる。
「地下道の謎は無いのですか」
先輩は頷いた。
「あれはこの前のようにモンスターが出るからな。でもこの辺の謎も解く過程で地下道探検が必要になってくると思うぞ。これは私のカンだけれどな」
「なら、どうせなら一番難い下のでいくのです」
おいおいおい。
「私は反対です。こういう場合はやはり簡単な方から解いていくのが正しいと思います。TRPG等でもそれがセオリーですし」
おいおいおい。
TRPGなんて言ってしまっているし。
ここはれっきとした僕らの現実だ。
でもまあ意見としては。
「僕も雅に賛成だな」
となる。
「うーん、仕方ないけれど二対一なら多数決を認めるのです」
佳奈美、今日はなかなか素直で宜しい。
この前の合宿で懲りたのだろうか。
「それではまず、視線の行方から行くことにしよう。
それでまずは三人に宿題だ。
この問題に関係すると思われる文献や資料を出来るだけ読みあさってこい。
その中にこの視線の解答があれば探索の必要は無いからな。
この学園関係の文献はだいたい大学図書館に揃っている。うちの図書館は資料も全て電子化されているからパソコンで検索も可能だ。
また疑問や調査事項、必要資材等があれば随時報告してくれ。私は大体放課後はここにいる。ここでもネットで大学図書館の検索が出来るしな。
実地調査開始は五月三日金曜日朝九時。いいな」
「任務了解」
佳奈美の妙な返事とともに次の活動がスタートする。




