第37話 或る独身女教師の食生活
最後にスープ用のお湯を沸かせば完成。
紙コップに即席スープの素を入れてお湯を入れる。
作ってみると最近の即席スープ、なかなか優秀だ。
ちょっと乾燥野菜も入っていたりして彩りもいい。
「暗くなり始めたからランタンをつけますよ」
そう言って先生は料理に使ったガラス製の器具を出してくる。
黄色いボンベと同じタイプのガスを下にねじ込みつつ本体を確認。
「うん、マントルは崩れてないからそのままでいいですね。点灯!」
思った以上に周りが明るくなった。
地下道探検に使った電池式のランタン以上に明るい。
そこそこ明るい電球程度の明るさがあるようだ。
「いいですね、それ」
「これは便利ですよ。明るいし寒い時には暖房にもなります」
どうも先生はストイックかつ極限な登山がお好きなようだ。
楽しいキャンプとは何かが違う。
でもまあ、明るいことはいいことかな。
ガス台になりまな板にもなった背板を並べてテーブル代わりにする。
貧乏くさい気もするが場所が河原なのでこれはこれで雰囲気がある。
ランタンの明かりでふんわり照らされると余計にいい感じだ。
御飯や麻婆豆腐の鍋を持ってきて、そして御飯の蓋を開ける。
よし、予定通りカニ穴が空いている。
これなら大丈夫だろう。
御飯をよそおい切ったサラダチキンとカット野菜の上に棒々鶏ソースをかける。
麻婆豆腐もよそおえば完成だ。
「それでは皆で、いただきます」
と夕食開始。
「こうやって食べる御飯は美味しいですね」
「でも周りの豪華さに負けている気がするのです」
確かに。
バーベキューグリルとかツーバーナーとか持ち込んでいる組と比べてはいけない。
「でもこの装備を考えたら良くやった。褒めてやろう」
神流先輩からはお褒めの言葉をいただいた。
「私の登山歴では一番豪華な食事ですね」
小暮先生、だからこれは登山ではなくキャンプです。
「とりあえずこの棒々鶏サラダのメニューは覚えました。今度家でも作ってみます。袋ラーメンに色々入れるのもいいですね」
今まで先生の家での食事、どんな状況だったのだろう。
まさか菓子パンとカロリー●イトとチーズの世界じゃないだろうな。
登山中と同様に。
「先生は普段ご自宅でどんな物を食べていらっしゃるのですか」
雅も僕と同じ疑問を持ったようだ。
先生はちょっと考えて答える。
「普段はスーパーのお惣菜ですね。私が帰る頃にはだいたい割引シールが貼ってあるので、それを選んで帰ります。御飯も一人分炊くのは面倒ですのでパック御飯をまとめて買いして、レンジでチンですね」
予想よりましだがやっぱり微妙な感じだ。




