第34話 本日の宿り
その後道無き道というかただの森の中をガシガシ登ったその先に、確かに細い獣道っぽい道があった。
そこまでの間に既に体力をかなり消耗したけれど。
そしてその獣道を沢靴のまま下るのが結構辛かった。
滑りやすいし足が筋肉痛を訴えているし。
登りより下りの方が筋肉痛には厳しい。
実地で知りたくなかった豆知識だ。
一時間半かけて車に戻った時、僕らはもうボロボロな感じだった。
僕らというのは僕と佳奈美と神流先輩の事だ。
先生と雅は全然平気そうだったけれど。
先生はともかく雅も冗談のように体力があるようだ。
まあ体力トレーニングでわかってはいたけれど。
車の処で靴だけ履き替えて乗車。
「いいんですか」
何せ服は悲惨なほどに汚れている。
新車同様の車には大変に申し訳ない感じだ。
でも先生は頷いて説明する。
「このためにこのシートカバーを付けているんです」
確かにゴムっぽい防水のシートカバーがきっちり付けられていた。
とことんアウトドア仕様にしているらしい。
そんなこんなで林道を下り、そして真っ当な道に出て5分程度走ったところで。
本日宿泊予定の氷●キャンプ場に辿り着いた。
駐車場の入口の処で先生は車を停める。
「まだ入れるか確認してきます。だからちょっと待っていて下さい」
先生は車を止めるとダッシュで走って行く。
全然体力は消耗していない模様。
羨ましい限りだ。
佳奈美などもう魂が抜けたような顔になっている。
二分もしないうちに先生はまた走って戻ってくる。
「テントは大丈夫だそうです。車を移動します」
という訳で車を駐車場に駐車。
かなり車は停まっている。
結構危ないところだったのかもしれない。
ここキャンプ場が満員だったらどうする気だったのだろう。
「では荷物を運びますよ」
先生のその声に雅以外はのろのろと動き出す。
雅だけはいつもと変わらない動きだ。
自分の荷物と今日の食料とテントその他と。
皆で分担して持って今日のテント場所へ。
なお佳奈美はあまりに消耗が酷いので荷物分担無し。
代わりに佳奈美の私物は僕の手にある。
ずるずると坂を下りて河原のテントサイトへ歩いて。
小石が少なく平らなところを先生が選んで、ようやく荷物を下ろした。
「テント設営が終わったら温泉に入って一服。だから、それまで頑張って」
「温泉!」
「温泉なのですか!」
ダメダメ状態だった神流先輩と佳奈美がほんの少し生き返った。
「そう。だから頑張ってね」
「温泉、いいですね」
雅も温泉が好きらしい。
少し生き返ったと言っても所詮少し程度。
動かない死体がゾンビになった程度だ。
でもまあテントを張る戦力にはなるだろう。
「まずその青ビニールシートを敷いて、その上にテント本体を置きます」
先生の指示が始まる。
「何故テントの下にこれを敷くのですか」
「下からの湿気防止とテントの汚れ防止ですね」
そんな感じで説明を挟みながら全員で何とかテントを張る。




